心房粗動中のwide QRS頻拍の出現にlinking現象の関与が示唆された間歇性WPW症候群の1例

症例は75歳, 男性. 2006年, AVNRTに対しslow pathwayアブレーションを施行. 2008年, 心不全にて入院時に心電図上HR150のnarrow QRS頻拍を認め, ATP静注にて同心拍数のδ波を伴うwide QRS頻拍となった. 頻拍はprocadinamide, verapamilを併用投与し, 徐拍化された際に鋸歯状波を認め, 副伝導路を伴う心房粗動による頻拍と考えた. 心房粗動は同心拍数のnarrow QRSおよびwide QRSを繰り返しながら持続した. 心臓電気生理学的検査中, 洞調律時に認めなかったδ波はATP静注後に出現し, 数分間持続した後, 消失した....

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Published inShinzo Vol. 41; no. SUPPL.4; pp. S4_34 - S4_40
Main Authors 坂本, 保己, 鈴木, 麻美, 栗原, 顕, 大坂, 友美子, 小野, 裕一, 大友, 建一郎, 中村, 知史, 清水, 茂雄, 大西, 健太郎, 白井, 康大, 磯部, 光章, 澤田, 三紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.S4_34

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Summary:症例は75歳, 男性. 2006年, AVNRTに対しslow pathwayアブレーションを施行. 2008年, 心不全にて入院時に心電図上HR150のnarrow QRS頻拍を認め, ATP静注にて同心拍数のδ波を伴うwide QRS頻拍となった. 頻拍はprocadinamide, verapamilを併用投与し, 徐拍化された際に鋸歯状波を認め, 副伝導路を伴う心房粗動による頻拍と考えた. 心房粗動は同心拍数のnarrow QRSおよびwide QRSを繰り返しながら持続した. 心臓電気生理学的検査中, 洞調律時に認めなかったδ波はATP静注後に出現し, 数分間持続した後, 消失した. 心房ペーシング中に刺激から副伝導路を介した心室最早期興奮部位までの伝導時間は房室結節を介した伝導時間より短く, 間歇的なδ波の出現には房室結節と副伝導路のlinking現象の関与が強く示唆された. 心室ペーシング中の室房逆伝導を指標に高周波通電を行い, 後中隔および左室後壁の2本の副伝導路の離断に成功した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.S4_34