線維筋性異形成に特発性冠動脈解離を合併し突然死した産褥心筋症の1例
症例は34歳, 女性. これまで心疾患の指摘はなく, 第1子出産時も正常分娩であった. 今回, 妊娠高血圧症の診断で当院産婦人科に入院となり, 翌日に第2子を経膣分娩. 出産直後より呼吸状態の悪化を認め, 胸部レントゲン写真で肺うっ血, 心拡大を, 心エコー図検査でEF : 30%後半と左室機能不全を呈しており, 産褥心筋症を基礎としたうっ血心不全の診断となる. 同日よりドブタミン, フロセミド持続静注を開始し, 良好な利尿反応が得られ, 心不全は改善傾向となった. 第6病日16時37分, 看護師が病棟モニターでSpO2低下を確認, 訪室時は心肺停止状態であった. 直ちにCPRを開始し, 気管...
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Published in | Shinzo Vol. 46; no. SUPPL.2; p. S2_39 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2014
Japan Heart Foundation |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.46.S2_39 |
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Summary: | 症例は34歳, 女性. これまで心疾患の指摘はなく, 第1子出産時も正常分娩であった. 今回, 妊娠高血圧症の診断で当院産婦人科に入院となり, 翌日に第2子を経膣分娩. 出産直後より呼吸状態の悪化を認め, 胸部レントゲン写真で肺うっ血, 心拡大を, 心エコー図検査でEF : 30%後半と左室機能不全を呈しており, 産褥心筋症を基礎としたうっ血心不全の診断となる. 同日よりドブタミン, フロセミド持続静注を開始し, 良好な利尿反応が得られ, 心不全は改善傾向となった. 第6病日16時37分, 看護師が病棟モニターでSpO2低下を確認, 訪室時は心肺停止状態であった. 直ちにCPRを開始し, 気管内挿管, 及びIABP, PCPS補助下に全身管理を行ったが, 心拍再開には至らず, 第11病日に永眠された. 剖検では冠動脈3枝共に著明な内膜肥厚を呈しており, 中膜では空胞変性が観察されたが, 粥状硬化性の変化はみられなかった. さらに冠動脈主幹部の内膜~中膜にかけての断裂像とそれに伴う血栓形成・閉塞を認め, これらが突然死の原因となった可能性が考えられた. 産褥心筋症の経過中に突然死を来した症例で, 原因として線維筋性異形成に伴う冠動脈解離が考えられた非常に稀な1例を経験したため報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.46.S2_39 |