心臓移植医療における循環器内科医の役割~現状と課題
「心臓移植医療における移植内科医育成の必要性」わが国において, 治療抵抗性難治性の65歳未満の重症心不全患者は, 心臓移植の適応となりうる. 重症心不全患者に対して最大限の内科的治療を継続することのみならず, 移植申請および補助人工心臓(VAD)装着の至適時期を見極めることは循環器内科医の重要な責務である. ドナーの数が限定的であるわが国においては, ほとんどの移植待機患者はVADを装着した上で, 5年以上の待機を余儀なくされる. VAD装着中はさまざまな合併症発症のリスクがあるため, 待機中の循環器内科による緻密な循環動態の管理や全身状態の評価は必要不可欠である. レシピエントは人工心臓装着...
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Published in | 移植 Vol. 56; no. 4; pp. 331 - 339 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
日本移植学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.56.4_331 |
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Summary: | 「心臓移植医療における移植内科医育成の必要性」わが国において, 治療抵抗性難治性の65歳未満の重症心不全患者は, 心臓移植の適応となりうる. 重症心不全患者に対して最大限の内科的治療を継続することのみならず, 移植申請および補助人工心臓(VAD)装着の至適時期を見極めることは循環器内科医の重要な責務である. ドナーの数が限定的であるわが国においては, ほとんどの移植待機患者はVADを装着した上で, 5年以上の待機を余儀なくされる. VAD装着中はさまざまな合併症発症のリスクがあるため, 待機中の循環器内科による緻密な循環動態の管理や全身状態の評価は必要不可欠である. レシピエントは人工心臓装着術や合併症に伴う輸血, 繰り返す感染症により移植前に高度に感作される可能性が高いため, 個々の患者における腎機能, 感染症, 感作の程度を正確に評価した上で, 移植周術期における免疫抑制療法および感染制御の戦略を練ることが重要である. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.4_331 |