Torsades de Pointesの特殊な発症パターンを呈した, たこつぼ型心筋症の1例

症例は70歳女性. 2007年から動悸および間歇性WPW症候群に対し, ベラパミルの内服加療を受けていた. 2014年3月19日労作時の呼吸困難感を自覚し, 当院を受診した. 心拍数140bpmのnarrow QRS tachycardiaおよび心不全を認めたため, 緊急入院した. ジギタリス0.25mgおよびベラパミル2.5mgの静脈内投与にて洞調律へ復帰した. 洞調律時の心電図においてΔ波はなかったが, T波の陰転化をⅡ, Ⅲ, aVF, V2~6誘導に認め, QTc時間は527msと延長していた. 左室壁運動は心尖部を中心にびまん性に低下し, LVEF 31%であった. 冠動脈造影検査で...

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Published in心臓 Vol. 47; no. SUPPL.1; pp. S1_56 - S1_61
Main Authors 野田, 崇, 和田, 有希, 鎌倉, 令, 和田, 暢, 中島, 育太郎, 石橋, 耕平, 宮本, 康二, 岡村, 英夫, 相庭, 武司, 鎌倉, 史郎, 安田, 聡, 小川, 久雄, 草野, 研吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
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Summary:症例は70歳女性. 2007年から動悸および間歇性WPW症候群に対し, ベラパミルの内服加療を受けていた. 2014年3月19日労作時の呼吸困難感を自覚し, 当院を受診した. 心拍数140bpmのnarrow QRS tachycardiaおよび心不全を認めたため, 緊急入院した. ジギタリス0.25mgおよびベラパミル2.5mgの静脈内投与にて洞調律へ復帰した. 洞調律時の心電図においてΔ波はなかったが, T波の陰転化をⅡ, Ⅲ, aVF, V2~6誘導に認め, QTc時間は527msと延長していた. 左室壁運動は心尖部を中心にびまん性に低下し, LVEF 31%であった. 冠動脈造影検査では有意狭窄を認めず, 薬剤による冠攣縮も誘発されなかった. 入院経過中にモニター上, Torsades de Pointes (TdP) が複数回出現した. TdP発症パターンのほとんどは, QT延長にPVCを伴う典型的なshort-long-shortパターンであったが, blocked PAC連発に引き続くTdPも認められた. 硫酸マグネシウムの点滴とカリウム補正を行った後には, TdPは消失した. その後, 心機能は改善し, LVEF 60%となった. 経過および諸検査からたこつぼ型心筋症と診断した. TdPの特殊な発症パターンを呈した1例を経験した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.S1_56