たこつぼ心筋症に左室自由壁心破裂を合併した一剖検例

症例は85歳女性. 2014年2月安静時胸痛を自覚し当院へ緊急搬送. 心電図にて前胸部誘導のST上昇, 心筋障害マーカーの軽度上昇を認めたが, 冠動脈造影で有意狭窄病変がなく, 左室造影所見からたこつぼ心筋症と診断した. βブロッカー内服による保存的加療を行ったが, 第3病日に胸痛が再発し, 前胸部誘導のSTが急激に上昇し, 直後に心肺停止となった. 速やかにCPRを行いPCPS導入後の左室造影にて造影剤の左室外への漏洩像から, 左室自由壁破裂と診断した. 心嚢ドレナージ, PCPS, 人工呼吸器により呼吸循環器管理を行ったが死亡. たこつぼ心筋症は一般的に予後良好な疾患とされるが, 心破裂や...

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Published inShinzo Vol. 47; no. SUPPL.1; p. S1_55
Main Authors 後藤, 健太朗, 浅野, 充寿, 鈴木, 秀俊, 青柳, 秀史, 中村, 知史, 加藤, 信孝, 川口, 直彦, 志村, 吏左, 倉林, 学, 山下, 光美, 長谷川, 智明, 沖重, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.S1_55

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Summary:症例は85歳女性. 2014年2月安静時胸痛を自覚し当院へ緊急搬送. 心電図にて前胸部誘導のST上昇, 心筋障害マーカーの軽度上昇を認めたが, 冠動脈造影で有意狭窄病変がなく, 左室造影所見からたこつぼ心筋症と診断した. βブロッカー内服による保存的加療を行ったが, 第3病日に胸痛が再発し, 前胸部誘導のSTが急激に上昇し, 直後に心肺停止となった. 速やかにCPRを行いPCPS導入後の左室造影にて造影剤の左室外への漏洩像から, 左室自由壁破裂と診断した. 心嚢ドレナージ, PCPS, 人工呼吸器により呼吸循環器管理を行ったが死亡. たこつぼ心筋症は一般的に予後良好な疾患とされるが, 心破裂や心室内血栓症など致死的合併症を稀に生じることが知られている. また左室自由壁破裂を左室造影で確認した症例報告は未だない. 破裂部位を含む急性期の心筋病理像の検討, また心破裂の合併について文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.S1_55