頻拍誘発性心筋症によるQT延長によりtorsade de pointesを生じたと考えられた1例

症例は34歳の女性. 主訴は失神である. QT延長によるtorsade de pointes (TdP) で入院した. 今回が初回であり, QT延長の原因となり得る薬剤服用などはなく, 心臓疾患の家族歴もなかった. TdPはプロプラノロールとメキシレチンの内服, 血清カリウム値の補正で安定したが, 心室性期外収縮 (VPC) の頻発は改善せず, 総心拍の約45%を占め, 左室駆出率 (LVEF) が40%と低左心機能を認め, この原因として頻発するVPCによる頻拍誘発性心筋症が考えられた. このため, このVPCに対しアブレーションを施行した. 僧帽弁輪前壁の体表面より30ms先行する, pr...

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Published inShinzo Vol. 41; no. SUPPL.3; pp. S3_86 - S3_92
Main Authors 滝村, 英幸, 山脇, 理弘, 笹尾, 健一郎, 阪本, 泰成, 酒井, 毅, 荒木, 基晴, 石盛, 博, 茶谷, 健一, 塚原, 玲子, 野呂, 眞人, 杉, 薫, 伊藤, 良明, 村松, 俊哉, 中野, 雅嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.S3_86

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Summary:症例は34歳の女性. 主訴は失神である. QT延長によるtorsade de pointes (TdP) で入院した. 今回が初回であり, QT延長の原因となり得る薬剤服用などはなく, 心臓疾患の家族歴もなかった. TdPはプロプラノロールとメキシレチンの内服, 血清カリウム値の補正で安定したが, 心室性期外収縮 (VPC) の頻発は改善せず, 総心拍の約45%を占め, 左室駆出率 (LVEF) が40%と低左心機能を認め, この原因として頻発するVPCによる頻拍誘発性心筋症が考えられた. このため, このVPCに対しアブレーションを施行した. 僧帽弁輪前壁の体表面より30ms先行する, pre potentialが認められた部位に対しアブレーションを施行したところ, 以後VPCは消失した. 術後のフォローアップでLVEFは69%まで改善し, 注目すべきことにQT延長も認められなくなった. 術後の運動負荷検査にてもQT間隔の延長, 形態異常は認められなかった. QT延長をきたし得るほかの原因が無く, この症例に認められたTdPを生ぜしめたQT延長は, 頻発するVPCによる頻拍誘発性心筋症が原因と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.S3_86