クールプラズマICP-OESによるRbの高感度分析

誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)を用いたルビジウム(Rb)の分析におけるアルゴン(Ar)のスペクトル干渉を解消するために,クールプラズマICP-OESを検討した.最適化された操作条件(RFパワー,750 W; キャリアーガス流量,0.95 mL min−1)では,ICP-OESによるRb測定の(シグナル/バックグランド)強度比は約20倍向上した.結果として,Rbの検出限界を0.005 mg kg−1まで下げることができ,従来法と比較して一桁改善した.クールプラズマICP-OES法において,実試料中に共存するカリウム(K)やカルシウム(Ca)などによって生じたマトリックス効果が確...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inBunseki kagaku Vol. 67; no. 1; pp. 19 - 25
Main Authors 有賀, 智子, 稲垣, 和三, 井戸, 航洋, 保倉, 明子, 朱, 彦北
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Tokyo 公益社団法人 日本分析化学会 01.01.2018
Japan Science and Technology Agency
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.67.19

Cover

More Information
Summary:誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)を用いたルビジウム(Rb)の分析におけるアルゴン(Ar)のスペクトル干渉を解消するために,クールプラズマICP-OESを検討した.最適化された操作条件(RFパワー,750 W; キャリアーガス流量,0.95 mL min−1)では,ICP-OESによるRb測定の(シグナル/バックグランド)強度比は約20倍向上した.結果として,Rbの検出限界を0.005 mg kg−1まで下げることができ,従来法と比較して一桁改善した.クールプラズマICP-OES法において,実試料中に共存するカリウム(K)やカルシウム(Ca)などによって生じたマトリックス効果が確認された.このため,実試料中のRbの定量分析には,標準添加法を用いた.酸分解によって溶液化を行い,内標準補正を併用した質量ベース標準添加/クールプラズマICP-OESによって3種類の認証標準物質中のRbを定量した.その結果,NMIJ CRM 7502-a(白米粉末)・NMIJ CRM 7505-a(茶葉粉末)・NMIJ CRM 7512-a(ミルク粉末)中Rbの測定値はそれぞれ(1.77±0.12)mg kg−1,(7.30±0.24)mg kg−1,と(8.91±0.29)mg kg−1であり,それぞれの認証値(1.77±0.07)mg kg−1,(7.3±0.3)mg kg−1,と(8.93±0.31)mg kg−1と一致している.これによって,本法の妥当性を確認できた.また,上記の測定値と認証値はいずれも(平均値±不確かさ)を示している.なお,不確かさは合成標準不確かさと包含係数(k=2)から決定された拡張不確かさであり,約95% の信頼の水準をもつと推定される区間の半分の幅を表す.
Bibliography:ObjectType-Article-1
SourceType-Scholarly Journals-1
ObjectType-Feature-2
content type line 14
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.67.19