肺静脈隔離術後の心房細動再発と心拍変動解析の長期経過

背景:心房細動に対する肺静脈隔離術(PVI)が心拍変動(HRV)に影響を与えることが知られている.一方で,HRVへの影響がどの程度持続するかについて,一定の見解が得られていない.方法:発作性心房細動に対してPVIを施行し,当院にて術後Holter心電図の経過を見ることができた82例を対象とした.PVI後の再発の有無により再発(−)群(N=68)と再発(+)群(N=14)に分類した.自律神経の指標としてlow-frequency components(LF;0.04-0.15Hz),high-frequency components(HF;0.15-0.4 Hz)およびLF/(LF+HF)rat...

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Published in心臓 Vol. 48; no. SUPPL.2; pp. S2_30 - S2_35
Main Authors 北條, 林太郎, 深水, 誠二, 中田, 晃裕, 河村, 岩成, 森山, 優一, 荒井, 研, 北村, 健, 青山, 祐也, 小宮山, 浩大, 西㟢, 光弘, 櫻田, 春水, 平岡, 昌和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 30.12.2016
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Summary:背景:心房細動に対する肺静脈隔離術(PVI)が心拍変動(HRV)に影響を与えることが知られている.一方で,HRVへの影響がどの程度持続するかについて,一定の見解が得られていない.方法:発作性心房細動に対してPVIを施行し,当院にて術後Holter心電図の経過を見ることができた82例を対象とした.PVI後の再発の有無により再発(−)群(N=68)と再発(+)群(N=14)に分類した.自律神経の指標としてlow-frequency components(LF;0.04-0.15Hz),high-frequency components(HF;0.15-0.4 Hz)およびLF/(LF+HF)ratioを用いた.初回PVIから1-24か月後のHolter心電図を解析し,2群間でHRVの変化を比較した.結果:再発(−)群ではLF,LF/(HF+LF)でPVI後に有意な低下を認めたが,再発(+)群では認めなかった.PVI後1か月目のHRV指標と比較すると,再発(−)群ではLF,LF/(HF+LF)はPVI後6か月から(LF:171.1ms2 vs 196.2ms2,P =0.043,LF/(LF+HF):0.624 vs 0.668, P=0.0001),有意に上昇がみられ,その変化は2年後まで継続した.HFでは変化はみられなかった.一方,再発(+)群ではこれらの指標に有意な変化はみられなかった.結語:PVI後に再発を認めない群ではよりHRVの変化が大きい可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.S2_30