「がん患者の呼吸困難感」の概念分析

本研究の目的は,がん患者の呼吸困難感の概念特性を明らかにすることである。CINAHLと医中誌を用いた検索とハンドサーチにより選定した35文献を分析対象とし,Walker & Avantの概念分析の手法によって対象文献から概念の属性,先行要件,帰結を抽出した。分析の結果,【多因子間の相互作用により発生する感覚】【日常生活活動に負の影響がある】【スピリチュアリティに負の影響がある】等の9つの属性,【がんという疾患・治療ゆえの特性】【身体における生理的・機能的な変化】等の5つの先行要件,【人間らしさを保つことへの脅威】【負の情緒状態の増強】等の3つの帰結が抽出された。本概念は「多因子間の相互...

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Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 40; no. 1; pp. 1_45 - 1_56
Main Authors 橋本, 晴美, 吉田, 久美子, 神田, 清子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 2017
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Summary:本研究の目的は,がん患者の呼吸困難感の概念特性を明らかにすることである。CINAHLと医中誌を用いた検索とハンドサーチにより選定した35文献を分析対象とし,Walker & Avantの概念分析の手法によって対象文献から概念の属性,先行要件,帰結を抽出した。分析の結果,【多因子間の相互作用により発生する感覚】【日常生活活動に負の影響がある】【スピリチュアリティに負の影響がある】等の9つの属性,【がんという疾患・治療ゆえの特性】【身体における生理的・機能的な変化】等の5つの先行要件,【人間らしさを保つことへの脅威】【負の情緒状態の増強】等の3つの帰結が抽出された。本概念は「多因子間の相互作用により発生する呼吸に関連した不快あるいは苦痛のこと,また,それに伴う制御不能な認知および主観的評価と,身体・心理・社会・スピリチュアリティの側面にみられる反応を含むがん患者の症状体験のこと」と定義された。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20161107005