酵素免疫測定法及び高速液体クロマトグラフィーによる食肉中のキノロン系抗菌剤の分析

キノロン系抗菌剤は人や動物に対して治療を目的に幅広く使用されている.しかし,畜水産食品においてキノロン系抗菌剤の残留が数多く検出されていることから,薬物残留を評価するのに簡便且つ迅速に分析可能な市販ELISAキットによるスクリーニングが期待される.酵素免疫測定法(ELISA)法は多数の検体を一度に処理できるが,交差反応性に起因する同定能力等に課題を有する.そこで,ELISA法として開発されたNew Quinolone Kitの有用性を検証するために,高速液体クロマトグラフィー/蛍光検出法(HPLC/FL)を用いた高精度な機器分析法を構築し,比較検討した.HPLC/FLによる検出限界及び定量限界...

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Published in分析化学 Vol. 55; no. 12; pp. 943 - 948
Main Authors 伊藤, 里恵, 斉藤, 貢一, 伊東, 岳, 加藤, 美穂子, 小平, 司, 堀江, 正一, 中澤, 裕之, 北村, 渉, 岩崎, 雄介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2006
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.55.943

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Summary:キノロン系抗菌剤は人や動物に対して治療を目的に幅広く使用されている.しかし,畜水産食品においてキノロン系抗菌剤の残留が数多く検出されていることから,薬物残留を評価するのに簡便且つ迅速に分析可能な市販ELISAキットによるスクリーニングが期待される.酵素免疫測定法(ELISA)法は多数の検体を一度に処理できるが,交差反応性に起因する同定能力等に課題を有する.そこで,ELISA法として開発されたNew Quinolone Kitの有用性を検証するために,高速液体クロマトグラフィー/蛍光検出法(HPLC/FL)を用いた高精度な機器分析法を構築し,比較検討した.HPLC/FLによる検出限界及び定量限界はエンロフロキサシンにおいて2 ng/g及び10 ng/gであった.エンロフロキサシン50 ng/gを添加したところ,回収率は107.8% と良好な結果を得ることができた.ELISA法との相関性を検討するため,同一食肉を試料としてHPLC/FL及びELISA法をそれぞれ適用したところ,両者の値に相関性が認められた.HPLC/FLでは煩雑な前処理及び約120分の分析所要時間を必要とするため,ELISA法は1次スクリーニング法として有用であると考えられる.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.55.943