音声による軽度認知症の検出

高齢化社会において認知症の有病率が増加しており、早期発見と予防的治療が重要である。疾患の分別手法として、臨床の現場ではMini Mental State Examination: MMSEによる認知能力検査が一般的であるが、医師等が行わなければならず手軽とは言えない。これまで著者らは声から病気を診断する技術の研究を行ってきており、認知症の推定も可能にしている。音声による評価はほぼ非侵襲であり簡便に行えるという利点がある。しかし、この技術は重度の認知障害に対しては有効であったが軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)に対しては良い精度とは言えなかった。そこで本...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 495
Main Authors 樋口, 政和, 中村, 光晃, 高野, 毅, 大宮, 康宏, 竹村, 潤, 光吉, 俊二, 徳野, 慎一, 岡崎, 俊実, 篠原, 修二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.495

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Summary:高齢化社会において認知症の有病率が増加しており、早期発見と予防的治療が重要である。疾患の分別手法として、臨床の現場ではMini Mental State Examination: MMSEによる認知能力検査が一般的であるが、医師等が行わなければならず手軽とは言えない。これまで著者らは声から病気を診断する技術の研究を行ってきており、認知症の推定も可能にしている。音声による評価はほぼ非侵襲であり簡便に行えるという利点がある。しかし、この技術は重度の認知障害に対しては有効であったが軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)に対しては良い精度とは言えなかった。そこで本研究では、音声からMCIを精度良く検出する手法を提案する。65歳以上の高齢者を募集し、MMSEによる認知能力検査、13種類の定型文読み上げ音声の収集を行った。被験者は45名(男性25、女性20)であった。全被験者を健常群(MMSE score≧28)とMCI群(24≦MMSE score<28)に分け、音声からopenSMILEソフトウェアを用いて6552個の特徴量を算出した。それらにロジスティック回帰分析を適用し特徴量係数の寄与率から特徴量選定を行った。その結果、8個の音声特徴量からなる判別器が得られ、定型文単位の正解率から健常群とMCI群を78%の精度で判別できた。得られた精度は分析に用いたデータに対するものであるが、音声からMCIを検出できる可能性は示唆された。今後は新たな被験者からの未知のデータに対して検証を行う必要がある。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.495