各論1:脳死下臓器摘出に関わる移植医の勤務実態・補償・待遇の現状

「はじめに」本邦での脳死下臓器移植の歴史は比較的浅く, 1997年に脳死臓器移植法案が施行され脳死肝移植が法制上実施可能となったが, 生前に臓器提供意思を書面で意思表示する必要があり, 臓器提供数の劇的な増加には至らなかった. 2010年にいわゆる「改正脳死法」により, 15歳以下の臓器提供・親族同意で臓器提供が可能となり脳死臓器提供は増加傾向にある. 本邦における脳死下臓器提供・脳死下臓器移植成績の報告は多いが, これまで脳死下臓器摘出に関わる移植医の勤務実態調査は行われておらず, その現状は明らかでなかった. 本稿では, 「日本移植学会働き方改革委員会」が2020年12月から2021年1月...

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Published in移植 Vol. 57; no. 1; pp. 67 - 74
Main Authors 日本移植学会, 働き方改革委員会, 笠原, 群生, 福本, 巧, 石田, 英樹, 渡邉, 龍秋, 小野, 稔, 岡田, 克典, 江川, 裕人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
日本移植学会
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Summary:「はじめに」本邦での脳死下臓器移植の歴史は比較的浅く, 1997年に脳死臓器移植法案が施行され脳死肝移植が法制上実施可能となったが, 生前に臓器提供意思を書面で意思表示する必要があり, 臓器提供数の劇的な増加には至らなかった. 2010年にいわゆる「改正脳死法」により, 15歳以下の臓器提供・親族同意で臓器提供が可能となり脳死臓器提供は増加傾向にある. 本邦における脳死下臓器提供・脳死下臓器移植成績の報告は多いが, これまで脳死下臓器摘出に関わる移植医の勤務実態調査は行われておらず, その現状は明らかでなかった. 本稿では, 「日本移植学会働き方改革委員会」が2020年12月から2021年1月にかけて行った「脳死下・心停止後臓器摘出手術に関する医師を対象とした勤務実態調査」の中から, 脳死下臓器摘出に関わるアンケートの結果を提示し, その現状と課題について考察する. 「対象と方法」表1の質問事項について脳死下臓器摘出に関わる移植医の勤務実態を, 2020年12月から2021年1月までオンライン調査を実施した.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.1_67