周産期におけるLatamoxefの臨床応用に関する研究
Latamoxef (LMOX) は1976年, 塩野義製薬研究所において開発された新しいOxacephem系抗生物質である。本剤は化学構造上特異的で, セファロスポリン骨格の硫黄原子が酸素に置換されている点が最も特異的であり, 又β-Lactam環にMethoxy基を有し, セファマイシン様の構造をも有している。本剤はこの化学構造上の特徴から抗菌力の上で特徴を有し, グラム陽性球菌に対しては他剤よりやや劣るがグラム陰性菌や嫌気性菌に対しては他剤より強い抗菌力を有している。本剤の体内動態は, 筋注, 静注により高い血中濃度が得られ, Cefazolin (CEZ) に類似した血中推移を示し,...
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Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 36; no. 9; pp. 2395 - 2404 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
01.09.1983
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Summary: | Latamoxef (LMOX) は1976年, 塩野義製薬研究所において開発された新しいOxacephem系抗生物質である。本剤は化学構造上特異的で, セファロスポリン骨格の硫黄原子が酸素に置換されている点が最も特異的であり, 又β-Lactam環にMethoxy基を有し, セファマイシン様の構造をも有している。本剤はこの化学構造上の特徴から抗菌力の上で特徴を有し, グラム陽性球菌に対しては他剤よりやや劣るがグラム陰性菌や嫌気性菌に対しては他剤より強い抗菌力を有している。本剤の体内動態は, 筋注, 静注により高い血中濃度が得られ, Cefazolin (CEZ) に類似した血中推移を示し, 尿中, 胆汁中にも高率に排泄される。又, 毒性も低い1)。 本剤は開発以来, 本邦をはじめ世界各国で多くの検討がなされその価値が認められている7, 8)。 本邦では, 1979年第27回日本化学療法学会西日本支部総会新薬シンポジウムにおいて本剤の評価成績が報告され1), その有用性が認められ, われわれもこれを報告した2)。 近年重要視されている周産期医学では, 胎児, 新生児を中心として妊娠末期の母体, 新生児期の諸問題について広く研究が行われているが, この時期における感染症, 化学療法についても重要視され, 研究が盛んに行われている3, 5)。 LMOXは周産期において選択されるべき抗生物質としての諸条件を備えていると考えられるので, 今回, LMOX周産期研究会が組織され研究が行われた。われわれも上記の観点から研究会に参加し, 以下の知見を得たので報告する。 |
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ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.36.2395 |