肥大型心筋症に心筋緻密化障害を合併した院外心肺停止の1例

症例は14歳男児. 小児期より心室中隔の壁運動異常を指摘されていた. 運動中に意識消失し, 心室細動に対して電気的除細動を施行後, 当院に搬送された. 心臓超音波検査では心室中隔の非対称性肥厚と無収縮, 右室は心尖部を中心に緻密化障害を認め, 右室基部側壁側は瘤様構造を呈した. 心臓電気生理学的検査では, 再現性をもって心室頻拍 (左脚ブロック型, 下方軸) が誘発され, 右室基部前側壁に低電位領域を認めた. 心臓遅延造影MRI検査で, 心室中隔の非対称性肥大と心筋中層の遅延造影を認めた. 遺伝子検査では心筋サルコメアをコードする心筋ミオシン重鎖のミスセンス変異 (539番目のメチオニンがイソ...

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Published inShinzo Vol. 47; no. SUPPL.1; pp. S1_5 - S1_11
Main Authors 高橋, 啓子, 中井, 俊子, 渡辺, 一郎, 平山, 篤志, 磯, 一貴, 國本, 聡, 大久保, 公恵, 佐々木, 直子, 古川, 力丈, 奥村, 恭男, 園田, 和正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.S1_5

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Summary:症例は14歳男児. 小児期より心室中隔の壁運動異常を指摘されていた. 運動中に意識消失し, 心室細動に対して電気的除細動を施行後, 当院に搬送された. 心臓超音波検査では心室中隔の非対称性肥厚と無収縮, 右室は心尖部を中心に緻密化障害を認め, 右室基部側壁側は瘤様構造を呈した. 心臓電気生理学的検査では, 再現性をもって心室頻拍 (左脚ブロック型, 下方軸) が誘発され, 右室基部前側壁に低電位領域を認めた. 心臓遅延造影MRI検査で, 心室中隔の非対称性肥大と心筋中層の遅延造影を認めた. 遺伝子検査では心筋サルコメアをコードする心筋ミオシン重鎖のミスセンス変異 (539番目のメチオニンがイソロイシンに変異) のヘテロ接合体を認めており, これは, これまでに報告されていない新たな変異であった. 肥大型心筋症に右室に緻密化障害を合併し, 心室頻拍により心肺停止に至ったと考え, 植込み型除細動器移植術を施行した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.S1_5