光音響信号の多波長解析によるアニサキス検出

アニサキスとはサバなどの魚に寄生する線虫である.アニサキスが寄生している生鮮魚介類を生で食すると,アニサキス症が引き起こされる.従来法であるキャンドリング検査では,魚の切り身の下から光を照射し,目視でアニサキスを検出しているが,内部に潜むアニサキスを全て検出することは困難である.そこで本研究では,到達深度が高く深部までの検出が期待できる光音響イメージングにより,切り身の内部に潜むアニサキスまで検出することとした.まず,紫外域および可視域(波長300-700 nm)においてアニサキス,生サバおよび生アジの光音響スペクトルを計測することにより,アニサキスの検出に適する光の波長の検討を行った.測定試...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 182
Main Authors 山川, 誠, 吉田, 奈央, 浪田, 健, 近藤, 健悟, 椎名, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.182

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Summary:アニサキスとはサバなどの魚に寄生する線虫である.アニサキスが寄生している生鮮魚介類を生で食すると,アニサキス症が引き起こされる.従来法であるキャンドリング検査では,魚の切り身の下から光を照射し,目視でアニサキスを検出しているが,内部に潜むアニサキスを全て検出することは困難である.そこで本研究では,到達深度が高く深部までの検出が期待できる光音響イメージングにより,切り身の内部に潜むアニサキスまで検出することとした.まず,紫外域および可視域(波長300-700 nm)においてアニサキス,生サバおよび生アジの光音響スペクトルを計測することにより,アニサキスの検出に適する光の波長の検討を行った.測定試料を入れた石英ガラスセルにパルス光を照射し,ハイドロフォンを用いて光音響信号を測定した.波長370-400 nmおよび490-540 nmにおいて,アニサキスのスペクトルは単調減少するのに対して,サバとアジのスペクトルは上昇することが明らかになった.これらのスペクトル形状の違いを利用してアニサキスとサバ,アジを識別するために,2波長間での信号強度比を用いる方法を考案し,検証を行った.その結果,強度比が異なることを確認した.これらの解析をとおし,提案手法の有用性を実証した.今後,さらなる検証を行いアニサキスの検出方法を確立するとともに,実用的なアニサキス検出装置の開発が必要であると考える.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.182