スポーツ中の熱中症予防を目的とした飲水の心拍変動への影響評価

スポーツ中の熱中症予防の為、暑さ指数(WBGT)に基づいて休息、水分補給を行うよう運動指針が示されている。しかし、熱中症の発症要因は環境面に限らず個人の身体的な要因も関連しており、WBGTのみの考慮では十分でない可能性もあると考えられる。運動指針が提案されて以降も熱中症患者数は減少傾向を示していない。個人の生理的な要因を考慮した熱中症予防の確立に向け、本研究では水分補給と心拍変動(HRV)の関係性に着目し、スポーツ活動中の飲水がHRVに与える影響の解明に向けた計測実験を行った。マラソンクラブチームに所属する20~70代の男女40名を被験者とし、ウェアラブル心拍測定デバイスを用いて、ランニング時...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 381
Main Authors 山本, 青空, 山川, 俊貴, 藤原, 幸一, 久保, 孝富, 奥村, 七彩, 丸野, 由希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.381

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Summary:スポーツ中の熱中症予防の為、暑さ指数(WBGT)に基づいて休息、水分補給を行うよう運動指針が示されている。しかし、熱中症の発症要因は環境面に限らず個人の身体的な要因も関連しており、WBGTのみの考慮では十分でない可能性もあると考えられる。運動指針が提案されて以降も熱中症患者数は減少傾向を示していない。個人の生理的な要因を考慮した熱中症予防の確立に向け、本研究では水分補給と心拍変動(HRV)の関係性に着目し、スポーツ活動中の飲水がHRVに与える影響の解明に向けた計測実験を行った。マラソンクラブチームに所属する20~70代の男女40名を被験者とし、ウェアラブル心拍測定デバイスを用いて、ランニング時の心拍データ(RRI)および加速度を計測した。被験者は心拍測定デバイスと連動しているスマートフォンアプリを用いて休憩や水分補給、体調変化等の申告を行った。RRIは飲水前後で値の変化は見られなかったが、調査した4つのHRV指標(NN50、pNN50、HF、LF/HF)全てで変化が見られた。HRV指標のうち副交感神経関連の指標(NN50、pNN50、HF)では飲水後1~5分後に値が増加し、20分後まで影響が持続している可能性があることが示された。交感神経系の指標であるLF/HFは飲水時の前後のみ値が増加しており、飲水の1分後には影響がほとんど消失していると考えられた。本研究の結果、飲水の交感神経系への効果は速やかに現れ、副交感神経への影響は持続する可能性が示唆された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.381