Intraoral Fluoride Releasing Deviceに関する研究 : ヒト口腔内応用の際の唾液,プラークならびに尿中フッ素の動態について

口腔内に微量なフッ素(F)を持続的に徐放できるIntrao al Fluoride Releasing Device(IFRD)を可撤装置に埋入し,ヒト口腔内に応用させて,応用前後を含めた30日間を3サイクルにわたり,唾液,プラークおよび尿中F量について検討した。可撤装置としては,下顎左側第一大臼歯の局部義歯を作製し,2個のIFRD(徐放F量0.31±0.13mg/日)を埋入して用いた。被験者(35歳,男性,DMFS:9)から,全期間での起床時,昼食前,夕食前の非刺激唾液を,また特定日における昼食摂取前の口腔内6区分におけるプラークと24時間尿を採取した。唾液中F濃度は,装着により起床時52倍...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 46; no. 1; pp. 53 - 62
Main Authors 木本, 椿作, 平田, 幸夫, 飯塚, 喜一, 木本, 一成, 加藤, 昌美, 荒川, 浩久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 1996
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.46.1_53

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Summary:口腔内に微量なフッ素(F)を持続的に徐放できるIntrao al Fluoride Releasing Device(IFRD)を可撤装置に埋入し,ヒト口腔内に応用させて,応用前後を含めた30日間を3サイクルにわたり,唾液,プラークおよび尿中F量について検討した。可撤装置としては,下顎左側第一大臼歯の局部義歯を作製し,2個のIFRD(徐放F量0.31±0.13mg/日)を埋入して用いた。被験者(35歳,男性,DMFS:9)から,全期間での起床時,昼食前,夕食前の非刺激唾液を,また特定日における昼食摂取前の口腔内6区分におけるプラークと24時間尿を採取した。唾液中F濃度は,装着により起床時52倍,昼食前27倍,夕食前23倍に上昇し,装置除去後は直ちに減少した。日内でみると,時間の経過に伴い唾液中F濃度は減少したが,0.2〜0.5ppmの安定したFの供給が認められた。プラーク中F量は,下顎前歯部を除いて5区分で有意な増加が認められ,除去後では下顎左側臼歯部を除いた5区分で緩やかに減少した。また,24時間尿での総排泄F量と尿量に明らかな傾向は認められなかった。IFRD応用によって一定のFが口腔環境に保持され,エナメル質や象牙質の脱灰抑制や初期う蝕病巣の再石灰化に寄与し得ること,また徐放Fが唾液を介してプラークFにも反映するが,唾液流出状況や他の口腔内状況に影響を受けることが示唆された。なお,IFRDの除去により,唾液中Fは直ちに,プラーク中Fは数日で消失すること,また今回の徐放F量では尿中Fへの影響がみられなかった。したがって,IFRDは,臨床応用の可能性が高いものと考える。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.46.1_53