在宅ターミナルケアにおける家族対処の特徴と看護介入

目的:在宅での看取りを達成するために,家族がケアの過程で生じる困難な状況にどのように対処しているか,その家族対処の特徴と,家族対処を促すためになされた看護介入について検討した.対象および方法:平成10〜13年度のK県訪問看護職研究会の事例検討会に出された,在宅ターミナルケア6事例の家族と,その事例を担当した訪問看護師6名である.方法は,事例検討会で報告された内容の中から,ケアの過程で生じた困難な状況を乗り切るためにとられた家族対処の内容を抽出し,質的に分析し,それぞれの構造を明らかにした.結果および考察:家族対処として,<情緒的支え合い><セルフケア能力の向上><...

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Published in日本地域看護学会誌 Vol. 6; no. 1; pp. 40 - 48
Main Authors 東, 清巳, 永田, 千鶴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地域看護学会 2003
Japan Academy of Community Health Nursing
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ISSN1346-9657
2432-0803
DOI10.20746/jachn.6.1_40

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Summary:目的:在宅での看取りを達成するために,家族がケアの過程で生じる困難な状況にどのように対処しているか,その家族対処の特徴と,家族対処を促すためになされた看護介入について検討した.対象および方法:平成10〜13年度のK県訪問看護職研究会の事例検討会に出された,在宅ターミナルケア6事例の家族と,その事例を担当した訪問看護師6名である.方法は,事例検討会で報告された内容の中から,ケアの過程で生じた困難な状況を乗り切るためにとられた家族対処の内容を抽出し,質的に分析し,それぞれの構造を明らかにした.結果および考察:家族対処として,<情緒的支え合い><セルフケア能力の向上><介護者役割を引き受ける><自己表出><あきらめる><依存><揺れ><死の受容><こだわる><療養者の意向に添う>の10項目が抽出された.その構造の特徴は,核に<こだわる>があり,それを前提に<療養者の意向に沿う>と<介護者役割を引き受ける>があった.そして,これらが他の家族対処を支えていた.また家族対処を促す看護介入として,【承認】【安心の保証】【受容】【傾聴】【待つ】【力を強くする】【関わり続ける】【受けとめる】【共感】【専心】【指示する】の11項目が認められた.その特徴は,核に【こだわる】と【専門的知識・技術】があり,これらを基盤にして在宅での看取りに向けて【関わり続ける】ために,その他のケアが,【バランスをとる】ケアに支えられながら提供されていた.また,本研究の家族は,ターミナルケアという困難な状況をさまざまな対処方法を用い,また看護師の専門的介入によって乗り越え,5家族が在宅死を看取り,1家族が死の数時間前まで在宅療養を続けた.
ISSN:1346-9657
2432-0803
DOI:10.20746/jachn.6.1_40