収縮期加速時間と動脈硬化症の関連性に関する検討

循環器系疾患の危険因子の1つはアテローム性動脈硬化と考えられており,動脈硬化は生活習慣病によって進行が加速する.現在では血管内のプラークを評価できる頸動脈超音波検査が奨励されている.しかし,測定にはある程度の専門知識が必要であり,評価には医師の診断が重要となる.本研究グループでは,容易に測定可能な,小型のスクリーニングデバイスとして,血流速度測定装置の開発に取り組んでいる.これまで,加齢による波形の違いが現れることが知られているが,動脈硬化と血流速度波形の関連性は十分に明らかではない.そこで本研究では,動脈硬化症患者と健常者を研究対象とし,総頸動脈の血流速度波形の比較を行った.先行研究では,血...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 359
Main Authors 松木, 勇樹, 北岡, 和義, 鳥居, 裕太, 芥川, 正武, 榎本, 崇宏, 山田, 博胤, 田中, 弘之, 木内, 陽介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.359

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Summary:循環器系疾患の危険因子の1つはアテローム性動脈硬化と考えられており,動脈硬化は生活習慣病によって進行が加速する.現在では血管内のプラークを評価できる頸動脈超音波検査が奨励されている.しかし,測定にはある程度の専門知識が必要であり,評価には医師の診断が重要となる.本研究グループでは,容易に測定可能な,小型のスクリーニングデバイスとして,血流速度測定装置の開発に取り組んでいる.これまで,加齢による波形の違いが現れることが知られているが,動脈硬化と血流速度波形の関連性は十分に明らかではない.そこで本研究では,動脈硬化症患者と健常者を研究対象とし,総頸動脈の血流速度波形の比較を行った.先行研究では,血流速度波形の特徴として収縮期の第2ピークや拡張期の最大血流速度で波形の評価を行ってきたが,被験者によっては特徴が現れにくいという問題があった.本研究では,拡張末期血流速度 (EDV , End-Diastolic Velocity) から収縮期最大血流速度 (PSV , Peak Systolic Velocity) までの収縮期加速時間 (AcT, Acceleration time) を算出し検討した.血流速度波形から得られたPSV、EDV、及びAcTを用いて,動脈硬化症患者と健常者間でKruskal-Wallis検定を行った結果,すべての動脈硬化指標で有意差(p<0.05)が得られた.以上から収縮期加速時間は動脈硬化を評価できる1つの指標である可能性が示唆された.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.359