要介護状態リスク尺度の開発

目的:介護予防活動を推進するために,要介護状態へ移行する危険性の高い前期高齢者を把握するための,要介護状態リスク尺度を開発することを目的とした.研究方法:先行研究により収集された項目を再度検討し,8概念から構成される46項目の尺度原案を作成した.人口3万人以上30万人未満の自治体に在住する,現在介護保険の要支援の認定を受けている65歳から74歳までの高齢者(要支援高齢者)と,その対象と性別が同じで年齢差が3歳以内の介護保険認定を受けていない高齢者(一般高齢者)に対して,尺度原案のほか属性や併存妥当性を検討するための項目について,郵送法による質問紙調査を実施した.結果:有効回答339組を分析に用...

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Published in日本地域看護学会誌 Vol. 7; no. 1; pp. 29 - 34
Main Author 鳩野, 洋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地域看護学会 2004
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Summary:目的:介護予防活動を推進するために,要介護状態へ移行する危険性の高い前期高齢者を把握するための,要介護状態リスク尺度を開発することを目的とした.研究方法:先行研究により収集された項目を再度検討し,8概念から構成される46項目の尺度原案を作成した.人口3万人以上30万人未満の自治体に在住する,現在介護保険の要支援の認定を受けている65歳から74歳までの高齢者(要支援高齢者)と,その対象と性別が同じで年齢差が3歳以内の介護保険認定を受けていない高齢者(一般高齢者)に対して,尺度原案のほか属性や併存妥当性を検討するための項目について,郵送法による質問紙調査を実施した.結果:有効回答339組を分析に用いた(有効回答組38.3%).同時複数項目削減相関係数法や因子分析の結果により,最終的に7因子28項目からなる尺度が得られた.因子抽出後の累積寄与率は53.6%であった.28項目の妥当性は,要支援高齢者と一般高齢者との得点の比較,EuroQOL尺度日本版との相関係数によってほぼ確認された.また信頼性に関して,クロンバックα係数は0.887,再検査法のrs係数は0.958であった.しかし下位尺度に関しては信頼性,妥当性とも問題を残した.結論:下位尺度の信頼性と妥当性,および適応対象の限界はあるが,本尺度は要介護状態に移行する危険性の高い対象の弁別には,全項目を用いることで活用可能であることが示唆された.
ISSN:1346-9657
2432-0803
DOI:10.20746/jachn.7.1_29