臨地実習における学生の学びの分析による実習指導方法の検討

本学の地域看護実習の指導方法を検討するため,1997年度に履修した学生35人の市町村・保健所・学校・産業の実習地ごとのレポート・最終レポートの記述およびカンファレンスでの発言内容から学びを抽出し,事前に学生に示した学習課題の達成状況を確認し,実習内容・方法との関連の検討から改善すべき実習指導方法を明らかにした.その結果,抽出できた学びは1,258件,そのうち996件が学習課題に分類できた.「看護学研究の対象とすべき課題を明らかにする」を除くすべての学習課題について学びがみられた.学びが最も多かったのは「ヘルスケアシステムを有効に機能させるための看護専門職の役割を学ぶ」で,その細項目では「他機関...

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Published in日本地域看護学会誌 Vol. 1; no. 1; pp. 90 - 95
Main Authors 河原田, 美紀, 御子柴, 裕子, 俵, 麻紀, 安田, 貴恵子, 北山, 三津子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地域看護学会 1999
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Summary:本学の地域看護実習の指導方法を検討するため,1997年度に履修した学生35人の市町村・保健所・学校・産業の実習地ごとのレポート・最終レポートの記述およびカンファレンスでの発言内容から学びを抽出し,事前に学生に示した学習課題の達成状況を確認し,実習内容・方法との関連の検討から改善すべき実習指導方法を明らかにした.その結果,抽出できた学びは1,258件,そのうち996件が学習課題に分類できた.「看護学研究の対象とすべき課題を明らかにする」を除くすべての学習課題について学びがみられた.学びが最も多かったのは「ヘルスケアシステムを有効に機能させるための看護専門職の役割を学ぶ」で,その細項目では「他機関との共同活動」が多く,今後の課題としての記述もみられた.これは各実習地の保健婦から必要性を聞くことも多く,学生もより強く感じたと思われる.学びが抽出されなかった看護学研究の対象とすべき課題の明確化については,学生の気づいた実践上の課題をカンファレンス等で,研究課題として発展させるよう促すかかわりが必要である.また「家族を単位とした援助の方法を学ぶ」も学びが少数であり,その細項目「家族の結びつきを強化する働きかけの方法」は0件であった.家族に面接する機会の多い市町村保健所での実習において工夫が必要と思われるが,市町村において学生が1回限りの単独訪問で実感するのは困難と考えられ,保健所保健婦との同行訪問で学習を促す工夫を保健婦と検討する必要がある.また保健事業の目的や展開に関する学びも少ないことが明らかになる等,今後の指導方法で工夫すべき点が示された.学習課題に分類できない学びの中には,複数の実習地における看護活動の共通点やおのおのの生活集団のつながりを実感したことで得られたと考えられる学びもあり,短期間であっても異なる実習地に赴く意義が確認できた.
ISSN:1346-9657
2432-0803
DOI:10.20746/jachn.1.1_90