職域における成人の歯科受療行動調査 : 「歯の治療を受けないでがまんする」の応答

成人の受療行動の解析として,アンケート調査から年齢特性と男女差の比較を行ってその要因を明らかにすることを目的とした。主として銀行業務に従事する25〜64歳までの男性474名と25〜44歳までの女性129名を対象に歯科受療行動について,アンケート調査のなかで「歯の治療を受けないでがまんする」をとりあげて検討した。その結果,年齢差について男性は「歯の治療をしないでがまんする」ことがある者の割合は年齢群が上がるとともに低くなる傾向を示し,55〜64歳群で34.5%であった。がまんする理由として,「忙しくて通院できない」と回答した者の割合は55〜64歳群が低く, 26.3%であった(p<0.05...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 51; no. 3; pp. 275 - 280
Main Authors 吉野, 浩一, 高江洲, 義矩, 松久保, 隆, 小山, 安徳, 鈴木, 啓介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2001
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.51.3_275

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Summary:成人の受療行動の解析として,アンケート調査から年齢特性と男女差の比較を行ってその要因を明らかにすることを目的とした。主として銀行業務に従事する25〜64歳までの男性474名と25〜44歳までの女性129名を対象に歯科受療行動について,アンケート調査のなかで「歯の治療を受けないでがまんする」をとりあげて検討した。その結果,年齢差について男性は「歯の治療をしないでがまんする」ことがある者の割合は年齢群が上がるとともに低くなる傾向を示し,55〜64歳群で34.5%であった。がまんする理由として,「忙しくて通院できない」と回答した者の割合は55〜64歳群が低く, 26.3%であった(p<0.05)。一方,女性の年齢差についてみると,35〜44歳群は「がまんする」者の割合が25〜34歳群よりも低い傾向にあった。しかし,がまんする理由として「忙しくて通院できない」と回答した者が25〜34歳群の女性では31.8%であるのに対して,35〜44歳群は66.7%で有意に高かった(p<0.05)。男女差についてみると,25〜34歳群は「歯の治療をしないでがまんする」ことがある者が,男性で52.5‰女性では48.4%であった。がまんする理由として,「忙しくて通院できない」と回答した者が男性は52.8‰女性が31.8%と有意な差(p<0.05)が認められた。以上のことから「忙しくて通院できない」者に対する歯科医療従事者から個別的であり,しかも支援するような有益なアプローチが必要であることが示唆された。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.51.3_275