コミュニティーにおける人々の他者への信頼を測定するための尺度開発と理論的検証
これまで保健師は,住民相互による関係性の再構築によって地域の健康を支える活動を展開してきたが,これら保健師活動の対象であるコミュニティーをアセスメントするためには,従来の保健統計指標だけでは十分ではない.人への信頼について,昨今の先行研究を踏まえつつ議論を深めることによって,保健師による地域活動の根拠となる新たな指標を提供したい.そこで本研究では,人への信頼の性質と程度を測定するための尺度開発と,その理論的検証を目的とした.まず,文献による「信頼」の仮説的枠組みに沿って質問項目を作成し,概念的妥当性の検討として因子分析を行った.次に,地域へのコミットメント,およびSOC(首尾一貫感覚)との関連...
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Published in | 日本地域看護学会誌 Vol. 13; no. 1; pp. 37 - 43 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本地域看護学会
15.10.2010
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Subjects | |
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ISSN | 1346-9657 2432-0803 |
DOI | 10.20746/jachn.13.1_37 |
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Summary: | これまで保健師は,住民相互による関係性の再構築によって地域の健康を支える活動を展開してきたが,これら保健師活動の対象であるコミュニティーをアセスメントするためには,従来の保健統計指標だけでは十分ではない.人への信頼について,昨今の先行研究を踏まえつつ議論を深めることによって,保健師による地域活動の根拠となる新たな指標を提供したい.そこで本研究では,人への信頼の性質と程度を測定するための尺度開発と,その理論的検証を目的とした.まず,文献による「信頼」の仮説的枠組みに沿って質問項目を作成し,概念的妥当性の検討として因子分析を行った.次に,地域へのコミットメント,およびSOC(首尾一貫感覚)との関連性の検討を行った.分析対象者は,沖縄県の離島A市における3歳児健康診査対象児の保護者338人であった.分析の結果,男女とも次の3因子が抽出された.第1因子「絆を築くための戦略的信頼」,第2因子「社会一般の人に対する信頼」,第3因子「特定の人に対する信頼」.地域へのコミットメントのうち,地域参加の頻度との関連において,第2因子と第3因子に相関が認められた.地域への誇りや愛着との関連には,すべての因子において正の相関が認められた.SOCとの関連は,すべての因子において正の相関が認められた.6項目のα係数は男性.737,女性.774であった.以上の結果から,人との信頼を測定する尺度は一定の妥当性と信頼性が得られたと判断した. |
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ISSN: | 1346-9657 2432-0803 |
DOI: | 10.20746/jachn.13.1_37 |