局所麻酔薬ropivacaineのα1-酸性糖タンパク結合動態と薬物間相互作用の検討

はじめに 金沢大学医学部附属病院麻酔科蘇生科において, 心拍動下冠動脈バイパス術の周術期に硬膜外麻酔薬としてropivacaineが使用されてきたが, 手術の経過や患者個々によって麻酔効果が変動することが経験されていた. 局所麻酔薬ropivacaineは, 血漿蛋白結合率が94%の塩基性薬物である1). 一般に, 塩基性薬物は血漿α1-酸性糖蛋白質(AGP)と強く結合することが知られている. また, 薬物非結合型分率(fu)は, 薬理効果や副作用発現に関与することから, しばしば治療域の狭い薬物などでは, 重要なパラメータとなっている. すでに, ropivacaineの体内動態は個体間変動...

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Published in医療薬学 Vol. 31; no. 6; pp. 445 - 450
Main Authors 宮本, 謙一, 横川, 弘一, 福和, 千恵, 石崎, 純子, 嶋田, 努, 下村, 祥子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 01.01.2005
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.31.445

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Summary:はじめに 金沢大学医学部附属病院麻酔科蘇生科において, 心拍動下冠動脈バイパス術の周術期に硬膜外麻酔薬としてropivacaineが使用されてきたが, 手術の経過や患者個々によって麻酔効果が変動することが経験されていた. 局所麻酔薬ropivacaineは, 血漿蛋白結合率が94%の塩基性薬物である1). 一般に, 塩基性薬物は血漿α1-酸性糖蛋白質(AGP)と強く結合することが知られている. また, 薬物非結合型分率(fu)は, 薬理効果や副作用発現に関与することから, しばしば治療域の狭い薬物などでは, 重要なパラメータとなっている. すでに, ropivacaineの体内動態は個体間変動が大きく, fu値は血漿AGP濃度が同程度にも関わらず大きく異なることが報告されている2,3). 一方, 血漿AGP濃度は炎症や外傷で上昇することや, 手術後3~4日間にピークに達した後, 2~4週間高値を示すことが報告されている4-6). また, 膵臓がん, 肝炎, ネフローゼ症候群では血漿AGP濃度が低下すると報告されている7-9).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.31.445