マルチモードカラムを用いたLC/MS/MS法による水道水中の臭素酸分析

液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法(LC/MS/MS)による水道水中の臭素酸分析の検討と水道水質検査としての妥当性を検証した.本分析法では,極性の高い臭素酸と他のイオン性化合物が適切に分離することを目的に,第4級アンモニウム基を導入したマルチモードカラム(逆相+陰イオン交換)を用いた.本分析法の妥当性は,水道水への添加回収試験から得られた検量線の直線性,選択性,精度などから評価した.検討の結果,臭素酸は,塩素酸,硝酸イオン,臭化物イオン,塩化物イオン及び硫酸イオンと適切に分離でき,ピーク形状も良好であった.また,臭素酸の検量線は,0.1~10 μg L−1の濃度範囲で良好な直線性が得...

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Published in分析化学 Vol. 65; no. 10; pp. 587 - 592
Main Authors 古川, 浩司, 川口, 寿之, 工藤, 清惣, 中澤, 智子, 山田, 悠貴, 船坂, 鐐三, 奥村, 明雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.10.2016
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Summary:液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法(LC/MS/MS)による水道水中の臭素酸分析の検討と水道水質検査としての妥当性を検証した.本分析法では,極性の高い臭素酸と他のイオン性化合物が適切に分離することを目的に,第4級アンモニウム基を導入したマルチモードカラム(逆相+陰イオン交換)を用いた.本分析法の妥当性は,水道水への添加回収試験から得られた検量線の直線性,選択性,精度などから評価した.検討の結果,臭素酸は,塩素酸,硝酸イオン,臭化物イオン,塩化物イオン及び硫酸イオンと適切に分離でき,ピーク形状も良好であった.また,臭素酸の検量線は,0.1~10 μg L−1の濃度範囲で良好な直線性が得られた.0.1 μg L−1臭素酸標準液の併行精度は6.11% と良好であった.さらに,水道水の添加回収試験を行った結果,併行精度4.13%,室内精度5.16%,真度98.4% ともに良好な結果が得られ,厚生労働省が通知する「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドライン」の目標値を満たした.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.65.587