Cefmetazoleに対する臨床分離株の感受性推移(2000-2003年)

Cefmetazole(CMZ, 販売名セブメタゾン (R))の市販後調査として, 全国各地の医療機関15施設で分離された臨床分離株に対するCMZを含む注射用β-ラクタム系薬のMICを経年的に調査し, 各種臨床分離株の感受性推移とCMZに対する耐性率の推移について検討した。被験菌株は, 1年次として2000年6月から2001年3月に分離された13菌種574株を, 2年次として2001年4月から2002年3月に分離された同菌種548株を, 3年次として2002年4月から2003年3月までに分離された同菌種654株を用いた。 本調査の3年間において, CMZの抗菌力の低下は認められず, また, 今...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 58; no. 3; pp. 303 - 316
Main Authors 佐藤, 有紀, 阿部, 友美, 古賀, 哲文, 伊東, 和慶, 栃川, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 25.06.2005
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Summary:Cefmetazole(CMZ, 販売名セブメタゾン (R))の市販後調査として, 全国各地の医療機関15施設で分離された臨床分離株に対するCMZを含む注射用β-ラクタム系薬のMICを経年的に調査し, 各種臨床分離株の感受性推移とCMZに対する耐性率の推移について検討した。被験菌株は, 1年次として2000年6月から2001年3月に分離された13菌種574株を, 2年次として2001年4月から2002年3月に分離された同菌種548株を, 3年次として2002年4月から2003年3月までに分離された同菌種654株を用いた。 本調査の3年間において, CMZの抗菌力の低下は認められず, また, 今回の結果は承認時までの調査成績と比較してほぼ同等であり, 良好な抗菌力を維持していると思われる。本調査の3年間の年次推移を見てみると, 検討菌種に対するMIC90はほとんど変動していなかった。各菌種の耐性率 (CMZのMIC≥32μg/mL) は, methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA, 0.0%→0.0%→0.0%), methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA, 72.9%→87.2%→88.7%), Staphylococcus epidermidis (18.5%→31.6%→14.3%), coagulase-negative Staphylococcus spp.(CNS, 13.3%→18.2%→21.4%), Escherichia coli (3.6%→0.8%→2.1%), Klebsiella pneumoniae (3.4%→3.8%→2.1%), Klebsiella oxytoca (0.0%→0.0%→40.0%), Proteus mirabilis (2.3%→2.1%→0.0%), Proteus vulgaris (13.6%→6.7%→0.0%), Morganella morganii (7.3%→40.0%→414.0%), Providencia spp.(12.5%→0.0%→18.2%), Peptostreptococcus spp.(0.0%→0.0%→0.0%), Bacteroides fragilis (10.3%→10.8%→17.1%), Bacteroides spp.(78.6%→87.5%→62.5%) であった。MRSA, CNS, B. fragilisで, 耐性率の増加傾向が見られ, 今後の動向に注意が必要である。対照薬との比較では, CMZはMSSAに対しては, CEZ, CTM, FMOXより弱く, SBT/CPZより良好であった。MRSA, S. epidermidis, CNSに対しては, どの検討薬剤の抗菌力も弱かった。グラム陰性菌に対して, CMZは概してCEZ, CTMより優れ, FMOXより弱かった。B. fragilis, Bacteroides spp.に対して, CMZは概してCEZ, CTMより優れ, SBT/CPZ, FMOXと同等か若干弱かった。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.58.303