若年者における咀嚼筋腱・腱膜過形成症疑い者に関する縦断的疫学調査
咀嚼筋腱・腱膜過形成症は,先天的要因が関与し,若年者から徐々に進行すると考えられている。そこで今回,同地域の小・中学校で縦断的に調査を行い,本疾患の発症頻度,最大開口の経年変化について検討した。調査期間は2009年から2016年で,2013年から2016年に埼玉県北部E中学校に3年生として在籍した生徒334名(男;162名,女;172名)を小学5年生から中学3年生まで,毎年調査した。調査項目は,最大開口距離,オーバーバイト,顎関節痛の有無,咀嚼筋痛の有無,関節雑音の有無,咬筋張り出しの有無,square mandibleの有無である。われわれは,口腔内から下顎枝前縁を触診し頰側に移動させた際に...
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Published in | Journal of the Japanese Society for the Temporomandibular Joint Vol. 30; no. 2; pp. 187 - 194 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
20.08.2018
The Japanese Society for Temporomandibular Joint |
Subjects | |
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ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu.30.187 |
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Summary: | 咀嚼筋腱・腱膜過形成症は,先天的要因が関与し,若年者から徐々に進行すると考えられている。そこで今回,同地域の小・中学校で縦断的に調査を行い,本疾患の発症頻度,最大開口の経年変化について検討した。調査期間は2009年から2016年で,2013年から2016年に埼玉県北部E中学校に3年生として在籍した生徒334名(男;162名,女;172名)を小学5年生から中学3年生まで,毎年調査した。調査項目は,最大開口距離,オーバーバイト,顎関節痛の有無,咀嚼筋痛の有無,関節雑音の有無,咬筋張り出しの有無,square mandibleの有無である。われわれは,口腔内から下顎枝前縁を触診し頰側に移動させた際に咬筋が触れる場合を咬筋張り出し有りとし,乳様突起に指を添えて眼耳平面に垂直下方に移動させた際に下顎角後縁の外側面が触れる場合をsquare mandible有りとした。咬筋張り出し有りの生徒を咀嚼筋腱・腱膜過形成症の疑いとした。結果として,咀嚼筋腱・腱膜過形成症疑いの生徒は6名(男:3,女:3)で,全体の1.8%であり,3名は,5年間で3~5 mmの増加,1名は変化がなく,2名は減少が認められた。それらの中学3年生時の最大開口距離は男子で45 mm以下,女子で43 mm以下であり,全体よりも2 SD近く開口が制限されていた。この結果により,受診患者だけではなく多数の潜在患者の存在の可能性が示された。また今回の簡易診査法は,患者負担が少ない早期治療に結び付く可能性も示唆された。 |
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ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu.30.187 |