薬浴による生体の生理的変化

I 緒言 入浴は日常生活の重要な部分であるが, 入浴方法によっては, 様々な生理的, 心理的, あるいは薬理的効果を得ることができると思われる. 特に, 最近の健康ブームの影響で, 体にいい入浴法が注目され, 単純な淡水風呂より, 薬用成分を含む薬浴が多くの人々に受け入れられるようになっている1, 2). しかし, 薬浴といっても種類が多いほか, 効用も様々で, 実際それらの生体における生理的作用に関する研究は不十分である. そこで, 今回われわれは唐辛子と薄荷などを含む入浴剤(Table 1)を使った薬浴により, 皮膚温(サーモグラフィー), 筋肉と脳の組織血液量, 心拍変動(自律神経機能)...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 69; no. 3; pp. 195 - 200
Main Authors 許, 鳳浩, 上馬場, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 2006
日本温泉気候物理医学会
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Summary:I 緒言 入浴は日常生活の重要な部分であるが, 入浴方法によっては, 様々な生理的, 心理的, あるいは薬理的効果を得ることができると思われる. 特に, 最近の健康ブームの影響で, 体にいい入浴法が注目され, 単純な淡水風呂より, 薬用成分を含む薬浴が多くの人々に受け入れられるようになっている1, 2). しかし, 薬浴といっても種類が多いほか, 効用も様々で, 実際それらの生体における生理的作用に関する研究は不十分である. そこで, 今回われわれは唐辛子と薄荷などを含む入浴剤(Table 1)を使った薬浴により, 皮膚温(サーモグラフィー), 筋肉と脳の組織血液量, 心拍変動(自律神経機能)および, 循環動態(血圧, 心拍, 総末梢血管抵抗など)がどのように変化するかを検討した. 唐辛子と薄荷はいずれも薬用植物で, その主成分はそれぞれカプサイシンとメントールとされている. カプサイシンは局所の血管を拡張させ, 血圧を下げるほか, 皮膚温の上昇, 抗炎症作用などが報告されている. 一方, メントールは局所の熱感, 発赤や鎮痛, 制痒作用があり, 多量の場合は血圧上昇作用もあるとされている3, 4).
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.69.195