Stanford B型大動脈解離に対するTEVAR施行9年後にmigrationを伴う遠位弓部大動脈瘤に対してオープンステントグラフトを用いて治療し得た1例

症例は76歳男性.9年前にStanford B型の急性大動脈解離を発症した.保存加療の後,今後の遠位弓部拡大のリスクが高いと判断し,発症4カ月後の慢性早期にエントリーの閉鎖の目的で胸部ステントグラフト内挿術を施行した.ステントグラフトは左鎖骨下動脈直下から胸部下行大動脈にかけて留置した.外来で経過観察としていたが,TEVAR術後1年程度から徐々にステントグラフトの中枢端は遠位側にmigrationし,真腔から偽腔内に脱落した.それに伴って徐々に遠位弓部大動脈瘤の拡大を来し,動脈瘤は71 mm大まで及び,ステントグラフト中枢端は遠位側へ左鎖骨下動脈直下から7 cmのmigrationを来した.外...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 53; no. 1; pp. 43 - 47
Main Authors 北方, 悠太, 平間, 大介, 羽生, 道弥, 腰地, 孝昭, 金光, ひでお
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.2024
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Summary:症例は76歳男性.9年前にStanford B型の急性大動脈解離を発症した.保存加療の後,今後の遠位弓部拡大のリスクが高いと判断し,発症4カ月後の慢性早期にエントリーの閉鎖の目的で胸部ステントグラフト内挿術を施行した.ステントグラフトは左鎖骨下動脈直下から胸部下行大動脈にかけて留置した.外来で経過観察としていたが,TEVAR術後1年程度から徐々にステントグラフトの中枢端は遠位側にmigrationし,真腔から偽腔内に脱落した.それに伴って徐々に遠位弓部大動脈瘤の拡大を来し,動脈瘤は71 mm大まで及び,ステントグラフト中枢端は遠位側へ左鎖骨下動脈直下から7 cmのmigrationを来した.外科的治療の適応と判断し,胸骨正中切開にて,オープンステントグラフトを用いて全弓部大動脈置換術を行った.オープンステントグラフトを前回の胸部ステントグラフト内挿術の際に挿入したステントグラフトと接続し,合併症なく術後第15病日に自宅退院となった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.53.43