栃木の新第三系:荒川層群中部の層序と化石および大谷地域の応用地質学

荒川層群は栃木県東部の八溝山地に沿って分布する海成中新統である.近年、微化石や放射年代の研究が進展し,本層群は中・上部中新統であることが明確になった.また豊富に産出する貝化石について古環境復元や生物地理的研究が行われている.一方,宇都宮市周辺には,やはり中新統である火砕岩類とその上位の海成堆積物が観察される.このうち火砕岩類は大谷石として有名で,優れた耐火性などのため石材として重用されてきた.一方で,採掘跡の陥没・産業廃棄物投棄に伴う地下水汚染等の地盤災害が問題になっている.こうした問題に対処するため,最新の物理探査手法による採掘跡地の調査と,地震計による安全確保のためのモニタリングが継続され...

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Published in地質学雑誌 Vol. 117; no. Supplement; pp. S89 - S102
Main Authors 松居, 誠一郎, 山本, 高司, 柏村, 勇二, 布川, 嘉英, 青島, 睦治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 01.09.2011
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Summary:荒川層群は栃木県東部の八溝山地に沿って分布する海成中新統である.近年、微化石や放射年代の研究が進展し,本層群は中・上部中新統であることが明確になった.また豊富に産出する貝化石について古環境復元や生物地理的研究が行われている.一方,宇都宮市周辺には,やはり中新統である火砕岩類とその上位の海成堆積物が観察される.このうち火砕岩類は大谷石として有名で,優れた耐火性などのため石材として重用されてきた.一方で,採掘跡の陥没・産業廃棄物投棄に伴う地下水汚染等の地盤災害が問題になっている.こうした問題に対処するため,最新の物理探査手法による採掘跡地の調査と,地震計による安全確保のためのモニタリングが継続されている.今回の見学旅行では,貝化石の多い荒川層群中部において化石の産状を観察し,また大谷石採掘現場で陥没などの調査状況を見学し,採掘跡地におけるボーリングのコア試料を観察する.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.117.S89