血清CPK値の地域比較に関する研究

長期間に亘る生活労働環境の差異が, 血清クレアチンフォスフォカイネース (以下CPKと略す) 値に及ぼす影響を検討する目的で, 生活労働環境が著しく異なる二地域を対象として, 血清CPK値を比較検討した. 対象は4年間に亘る高知県大豊町住民検診受診者延べ4310名, 同4年間に亘る大阪府吹田市住民団体検診受診者延べ3,283名, 及び2年間の大阪府下某繊維染色工場従業員検診受診者延べ460名である. 集団間比較による検討においては, 農林業が主体で四国山地山間部の受診者群である高知県大豊町の受診者群が, 大都市近郊に居住する平均的な都市勤労者群である大阪府下の2集団に比し, 血清CPK値の有意...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 20; no. 6; pp. 469 - 475
Main Authors 萬代, 隆, 矢野, 敦雄, 馬場, 俊六, 有田, 和弘, 田淵, 義勝, 足達, 七郎, 栢森, 裕三, 竹島, 正, 小沢, 秀樹, 伊藤, 敬一, 池田, 正男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.11.1983
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Summary:長期間に亘る生活労働環境の差異が, 血清クレアチンフォスフォカイネース (以下CPKと略す) 値に及ぼす影響を検討する目的で, 生活労働環境が著しく異なる二地域を対象として, 血清CPK値を比較検討した. 対象は4年間に亘る高知県大豊町住民検診受診者延べ4310名, 同4年間に亘る大阪府吹田市住民団体検診受診者延べ3,283名, 及び2年間の大阪府下某繊維染色工場従業員検診受診者延べ460名である. 集団間比較による検討においては, 農林業が主体で四国山地山間部の受診者群である高知県大豊町の受診者群が, 大都市近郊に居住する平均的な都市勤労者群である大阪府下の2集団に比し, 血清CPK値の有意な高値を示した. 更に, 居住環境及び生活労働環境の差異が血清CPK値に及ぼす影響を比較検討する目的で, 高知県大豊町受診者を, (1) 比較的都市的な生活環境地区の居住者群, (2) 農業を中心とする農業地区の居住者群, (3) 農業及び林業を営む山間部山村地区の居住者群の3群に更に分割し, 血清CPK値を比較検討した. その結果, 居住及び生活労働環境の厳しいと考えられる地区ほど血清CPK値が高値であった. しかも, 血清CPK値は各群の経年的推移における変動の検討, 各個人の経年的推移, 高血圧及び降圧剤の服用による影響等の分析においては有意な差異は認められなかった. これら, 居住及び生活労働環境の異なる地域, 更に同一地域内においても血清CPK値に有意な差異を認め, 血清CPK値が恒常的な要因により影響をうけ, 地域において差異を生ずる可能性が示された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.20.469