高集積マイクロアレイ研究開発の現状と動向

マイクロアレイは,生体分子の機能解析や相互作用解析の超並列化を可能にする重要なプラットフォーム技術である.既に,DNAマイクロアレイは核酸解析用ツールとして普及が進んでいる.一方で,ペプチド,タンパク質などデオキシリボ核酸(DNA)以外の生体分子を集積する技術には多くの課題が残されており,当初,マイクロアレイに期待されたイノベーションはいまだ部分的な達成に留まっている.2000年以降,タンパク質の合成や精製における多大な手間とコストの課題を解決する目的で,無細胞合成系を用いる新たなタンパク質アレイ製造技術が提案されてきた.近年になって,微細加工技術を組み合わせるマイクロインタリオプリント法が開...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in分析化学 Vol. 64; no. 6; pp. 421 - 429
Main Authors 上野, 真吾, 佐藤, 秀介, ビヤニ, マニッシュ, ラジ・クマール, スバシニ, 一木, 隆範, 倉持, 宏実, 赤木, 貴則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.2015
Online AccessGet full text
ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.64.421

Cover

More Information
Summary:マイクロアレイは,生体分子の機能解析や相互作用解析の超並列化を可能にする重要なプラットフォーム技術である.既に,DNAマイクロアレイは核酸解析用ツールとして普及が進んでいる.一方で,ペプチド,タンパク質などデオキシリボ核酸(DNA)以外の生体分子を集積する技術には多くの課題が残されており,当初,マイクロアレイに期待されたイノベーションはいまだ部分的な達成に留まっている.2000年以降,タンパク質の合成や精製における多大な手間とコストの課題を解決する目的で,無細胞合成系を用いる新たなタンパク質アレイ製造技術が提案されてきた.近年になって,微細加工技術を組み合わせるマイクロインタリオプリント法が開発され,107~108の変異体ライブラリーを1枚のチップ上に高密度集積することも可能になった.これにより,有用生体分子取得を目的とした超並列機能スクリーニングへのタンパク質アレイの適用も視野に入ってきた.本稿では,高集積タンパク質アレイの研究開発の動向と現状を俯瞰的に解説し,その将来展望を論じる.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.64.421