母親のmind-mindednessと子どもの信念・感情理解の発達 : 生後5年間の縦断調査

母親が乳児の心の世界に目を向け,乳児を心を持った一人の人間として捉えるという特徴(mind-mindedness:MM)について,後の子どもの発達との関連を検討した。子どもが生後6ヵ月時に測定された母親のMMの高さが,その後,3歳時と4歳時の子どもの欲求・信念理解,感情理解を促進するのかを縦断的に分析した。高いMMを持つ母親の子どもは,4歳時点において感情理解に優れ,同時に,一般語彙の理解も高いことが示された。また,母親のMMの高さは,生後6ヵ月時に観察された母親による子どもの内的状態への言及頻度の高さを介して,子どもの感情および語彙理解を促進するという影響プロセスが見出された。一方,3歳時の...

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Published in発達心理学研究 Vol. 22; no. 3; pp. 240 - 250
Main Author 篠原, 郁子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本発達心理学会 20.09.2011
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Summary:母親が乳児の心の世界に目を向け,乳児を心を持った一人の人間として捉えるという特徴(mind-mindedness:MM)について,後の子どもの発達との関連を検討した。子どもが生後6ヵ月時に測定された母親のMMの高さが,その後,3歳時と4歳時の子どもの欲求・信念理解,感情理解を促進するのかを縦断的に分析した。高いMMを持つ母親の子どもは,4歳時点において感情理解に優れ,同時に,一般語彙の理解も高いことが示された。また,母親のMMの高さは,生後6ヵ月時に観察された母親による子どもの内的状態への言及頻度の高さを介して,子どもの感情および語彙理解を促進するという影響プロセスが見出された。一方,3歳時の欲求理解能力,および,4歳時の誤信念理解能力について,母親のMMの単純な高さではなく,MM得点の中位群に属する母親の子どもの成績が最も優れることが見出された。母親のMMは,子どもの心の理解発達について側面ごとに異なる影響を持つことが示唆された。欲求や信念理解の発達に中程度のMMが寄与していた点について,その理由と影響プロセスを検討するという課題が示された。
ISSN:0915-9029
2187-9346
DOI:10.11201/jjdp.22.240