生理活性低分子ペプチドの体内吸収性評価に関する分析化学的研究

著者らは食品成分,特に,低分子ペプチド(ジ・トリペプチド)の血管機能改善作用とそのメカニズムの解明に関する研究を行っている.近年,多数の生理活性ペプチドに関する研究がなされているが,生体内で分解を受けるペプチドについては,体内吸収性を考慮してないin vitroのエビデンスのみにもとづき,その生理作用を論じることは不適切であるとの指摘がなされている.しかしながら,実際にこれら低分子ペプチドをはじめとする食品成分の体内動態を評価した報告はわずかであり,その体内動態を評価するための十分な分析化学的手法がないことがその遠因と考えられた.このような背景に鑑み,食品成分,特に,低分子ペプチド(ジ・トリペ...

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Published in分析化学 Vol. 66; no. 9; pp. 677 - 685
Main Author 田中, 充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.09.2017
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Summary:著者らは食品成分,特に,低分子ペプチド(ジ・トリペプチド)の血管機能改善作用とそのメカニズムの解明に関する研究を行っている.近年,多数の生理活性ペプチドに関する研究がなされているが,生体内で分解を受けるペプチドについては,体内吸収性を考慮してないin vitroのエビデンスのみにもとづき,その生理作用を論じることは不適切であるとの指摘がなされている.しかしながら,実際にこれら低分子ペプチドをはじめとする食品成分の体内動態を評価した報告はわずかであり,その体内動態を評価するための十分な分析化学的手法がないことがその遠因と考えられた.このような背景に鑑み,食品成分,特に,低分子ペプチド(ジ・トリペプチド)の生理機能発現を理解する上で,ブラックボックスとされていたその体内吸収・代謝挙動並びに体内での活性本体を,質量分析計を中心とした分析化学的手法を駆使して明らかにしてきた.本稿ではその概要を紹介する.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.66.677