デジタル分子ふるい電気泳動用キャピラリーデバイスの開発

デジタル電気泳動法は,各種機能性ヒドロゲルに対する試料分子の通過・非通過を利用した分離・濃縮法として近年注目されているが,ヒドロゲル充填デバイス作製の煩雑さが大きな課題であった.そこで,本研究では,簡易デバイスを用いたデジタル電気泳動技術の開発と,機能性ヒドロゲルによるタンパク質の分離・濃縮評価のため,異種ポリアクリルアミドゲル連続充填キャピラリーデバイスを作製し,デジタル分子ふるい電気泳動の基礎評価を行った.その結果,プレポリマー溶液中アクリルアミド総濃度(%T)と通過・非通過タンパク質の分子量との相関が明らかとなった.また,濃縮効率評価の結果,最大で約180倍の高感度化が確認された.さらに...

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Published in分析化学 Vol. 71; no. 6; pp. 325 - 331
Main Authors 末吉, 健志, 松田, 景太, 遠藤, 達郎, 久本, 秀明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.2022
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Summary:デジタル電気泳動法は,各種機能性ヒドロゲルに対する試料分子の通過・非通過を利用した分離・濃縮法として近年注目されているが,ヒドロゲル充填デバイス作製の煩雑さが大きな課題であった.そこで,本研究では,簡易デバイスを用いたデジタル電気泳動技術の開発と,機能性ヒドロゲルによるタンパク質の分離・濃縮評価のため,異種ポリアクリルアミドゲル連続充填キャピラリーデバイスを作製し,デジタル分子ふるい電気泳動の基礎評価を行った.その結果,プレポリマー溶液中アクリルアミド総濃度(%T)と通過・非通過タンパク質の分子量との相関が明らかとなった.また,濃縮効率評価の結果,最大で約180倍の高感度化が確認された.さらに,5, 15, 25%Tポリアクリルアミドゲル連続充填デバイスを用いたデジタル分子ふるい電気泳動によって,分子量が異なるタンパク質の分離と濃縮が同時に達成された.以上の結果から,作製したデバイスを用いた簡便・高分離能・高感度なデジタル電気泳動が実証された.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.71.325