脳動脈瘤手術の工夫 安全かつ確実なクリッピングをめざして

「はじめに」脳動脈瘤ネッククリッピングの目的は, 脳神経組織を損傷しないで, 親動脈および周囲穿通枝の血流を温存しつつ, 瘤への血流を確実に遮断することである. ことに無症候性の未破裂脳動脈瘤手術に際しては, 安全かつ確実なクリッピングが望まれる. 通常の動脈瘤でも, 開頭やアプローチ法を工夫し顕微鏡下に十分な術野を確保しても, 死角が生じる場合がある. また, 視覚的には親血管や穿通枝が温存されたと判断しても, 循環障害をきたす可能性は否定できない. さらに, 末梢性動脈瘤のように慣れない部位では, 不必要な剥離操作を加えることもありうる. これらの欠点を補い手術成績を向上させる目的で, 顕...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中の外科 Vol. 35; no. 6; pp. 417 - 422
Main Authors 岩田, 真治, 大西, 丘倫, 長戸, 重幸, 久門, 良明, 大上, 史朗, 渡邉, 英昭, 伊賀瀬, 圭二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2007
日本脳卒中の外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.35.417

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」脳動脈瘤ネッククリッピングの目的は, 脳神経組織を損傷しないで, 親動脈および周囲穿通枝の血流を温存しつつ, 瘤への血流を確実に遮断することである. ことに無症候性の未破裂脳動脈瘤手術に際しては, 安全かつ確実なクリッピングが望まれる. 通常の動脈瘤でも, 開頭やアプローチ法を工夫し顕微鏡下に十分な術野を確保しても, 死角が生じる場合がある. また, 視覚的には親血管や穿通枝が温存されたと判断しても, 循環障害をきたす可能性は否定できない. さらに, 末梢性動脈瘤のように慣れない部位では, 不必要な剥離操作を加えることもありうる. これらの欠点を補い手術成績を向上させる目的で, 顕微鏡手術の際に, 術中の脳血管撮影5), 内視鏡1-4)10)11), 電気生理学的モニタリング7)9), 術中ナビゲーション6)8)などの手術支援システム併用の有用性が報告されている. われわれも, 安全かつ確実な脳動脈瘤クリッピングを行うために, 必要に応じてそれら支援システムを使用してきた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.35.417