地域在住高齢者のヘルスリテラシーと動脈硬化リスク
目的:本研究の目的は,地域在住高齢者のヘルスリテラシーが心臓足首血管指数(CAVI)で測定した動脈硬化リスクに及ぼす影響を検討することである.方法:対象は,65歳以上の地域在住高齢者288名(平均72.4歳,男性99名)とした.血圧脈波検査装置VS-1500(フクダ電子社製)を用いてCAVIを測定し,9.0以上を動脈硬化リスクありとして判定した.包括的なヘルスリテラシーの評価尺度として,European Health Literacy Survey Questionnaire(HLS-EU-Q47)日本語版を用いた.その他の測定項目は,基本属性(年齢,性,教育歴),Mini-Mental St...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 55; no. 4; pp. 605 - 611 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.10.2018
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.55.605 |
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Summary: | 目的:本研究の目的は,地域在住高齢者のヘルスリテラシーが心臓足首血管指数(CAVI)で測定した動脈硬化リスクに及ぼす影響を検討することである.方法:対象は,65歳以上の地域在住高齢者288名(平均72.4歳,男性99名)とした.血圧脈波検査装置VS-1500(フクダ電子社製)を用いてCAVIを測定し,9.0以上を動脈硬化リスクありとして判定した.包括的なヘルスリテラシーの評価尺度として,European Health Literacy Survey Questionnaire(HLS-EU-Q47)日本語版を用いた.その他の測定項目は,基本属性(年齢,性,教育歴),Mini-Mental State Examination,握力,通常歩行速度,服薬数,飲酒・喫煙・身体活動低下の有無とした.統計解析は,HLS-EU-Q47総得点の四分位群(Q1-4)をカテゴリ化し,CAVI,動脈硬化リスクありの割合,およびその他の測定項目を一元配置分散分析(2値変数はχ2検定)により比較した.さらに,動脈硬化リスクの有無を従属変数,カテゴリ化した四分位群(Q1-4)を独立変数としたロジスティック回帰分析を,単変量および多変量(年齢,性別,その他の測定項目で調整)にて解析した.結果:最もヘルスリテラシーの低いQ1は,最も高いQ4に比較して,有意にCAVIが高値であり,動脈硬化リスクありの割合が高かった(p<0.05).Q1をリファレンスとすると,単変量解析ではQ3(OR[95%CI] = 0.48[0.24-0.93]),Q4(0.39[0.19-0.77])で,多変量解析ではQ4(0.44[0.19-0.98])で有意に動脈硬化リスクに関連していた.結論:ヘルスリテラシーが低い地域在住高齢者では,年齢や性別の影響を除いても,動脈硬化リスクが高いことが示された. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.55.605 |