高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法によるヒト尿中フタル酸エステル代謝物の定量法の開発と暴露量評価への応用

本研究では,ヒト尿中フタル酸モノエステル類(モノエステル体)の高感度かつ高精度な分析法を構築し,フタル酸エステル類(PEs)の暴露量評価への応用を検討した.PEsは生体内で代謝されてモノエステル体となり,主に尿中へ排泄される.PEsのヒト暴露量評価を目的に,尿中のモノエステル体を指標とした分析法を検討した.尿の前処理には陰イオン交換/逆相系混合カートリッジによる固相抽出を,測定には高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(LC/MS/MS)を用いた.実試料は,職業的にPEsの暴露が懸念される246名の男性,及び一般健康人から採取した尿を用いた.職業暴露者から採取した尿検体中のフタル酸モノ...

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Published in分析化学 Vol. 55; no. 9; pp. 661 - 667
Main Authors 津金, 昌一郎, 伊藤, 里恵, 斉藤, 貢一, 吉村, 真理子, 井之上, 浩一, 潘, 国偉, 高橋, 謙, 花岡, 知之, 中澤, 裕之, 山野, 優子, 岩崎, 雄介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2006
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.55.661

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Summary:本研究では,ヒト尿中フタル酸モノエステル類(モノエステル体)の高感度かつ高精度な分析法を構築し,フタル酸エステル類(PEs)の暴露量評価への応用を検討した.PEsは生体内で代謝されてモノエステル体となり,主に尿中へ排泄される.PEsのヒト暴露量評価を目的に,尿中のモノエステル体を指標とした分析法を検討した.尿の前処理には陰イオン交換/逆相系混合カートリッジによる固相抽出を,測定には高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(LC/MS/MS)を用いた.実試料は,職業的にPEsの暴露が懸念される246名の男性,及び一般健康人から採取した尿を用いた.職業暴露者から採取した尿検体中のフタル酸モノブチル(MBP)及びフタル酸モノ-2-エチルヘキシル(MEHP)の平均測定値は,対照群に比べて顕著に高い値を示し,MBPとMEHPの間に有意な相関がみられた.本研究で得られた測定結果から,構築した分析法の実用性が確認され,PEs暴露のリスク評価に応用可能であることが示唆された.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.55.661