フレイル健診における後期高齢者質問票の有用性―診療所における活用例
目的:後期高齢者健診に新たな質問票が導入され多面的なフレイルの評価が行われている.そこで実地臨床の場で活用するため,実測値で判定されたサルコペニアとの関連を検討した.方法:令和2年度に当院で後期高齢者健診を受診した者のうち,要介護認定者,認知症などを除外した171名を対象とした.通常の健診項目に加え握力および生体インピーダンス法による骨格筋指数を測定し,握力のみ低下した群を「サルコペニアの可能性」,握力および筋肉量低下群を「サルコペニア」とした.日本老年医学会の質問票対応マニュアルより各フレイルに該当する項目があればそのフレイルとし,サルコペニアとの関連を検討した.結果:対象者は平均年齢81....
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 59; no. 3; pp. 360 - 370 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.07.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.59.360 |
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Summary: | 目的:後期高齢者健診に新たな質問票が導入され多面的なフレイルの評価が行われている.そこで実地臨床の場で活用するため,実測値で判定されたサルコペニアとの関連を検討した.方法:令和2年度に当院で後期高齢者健診を受診した者のうち,要介護認定者,認知症などを除外した171名を対象とした.通常の健診項目に加え握力および生体インピーダンス法による骨格筋指数を測定し,握力のみ低下した群を「サルコペニアの可能性」,握力および筋肉量低下群を「サルコペニア」とした.日本老年医学会の質問票対応マニュアルより各フレイルに該当する項目があればそのフレイルとし,サルコペニアとの関連を検討した.結果:対象者は平均年齢81.0±4.2歳,女性63.1%で,サルコペニアは12.3%,サルコペニアの可能性は17.5%に認められた.各種フレイル(オーラル,身体的,精神・心理的フレイルおよび社会的フレイル)はサルコペニアと有意に関連した.各フレイルへの関連因子を検討したところ,身体的フレイルは年齢,精神・心理的フレイルは高血圧が有意な関連を示した.また社会的フレイルでは10年前からの体重減少が有意に大きく認められた.結論:後期高齢者質問票は,その各種項目においてサルコペニアと関連したことから,簡易スクリーニングとして活用できることが示唆された.また,フレイルの種類によって関連する背景因子が異なったことから,フレイルの多面的な発症要因の存在が示唆された. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.59.360 |