急性期病院の看護師が実践する身体拘束の関連要因:看護師の自己評価調査を用いた分析

目的:本研究の目的は,急性期病院において看護師が実践する身体拘束の実施の関連要因として看護師の看護実践に関する自己評価などを用いて明らかにすることである.研究方法:本研究は,2016年4月~2017年3月に,H市における4病院(7対1の500床以上)の病棟看護師を対象とした.急性期病院の身体拘束において,体幹帯の使用,ミトン型手袋の着用,車椅子などの腰ベルトの使用,介護衣の着用,ベッド柵の使用,向精神薬などの内服に関する6項目に対して評価などを依頼した.結果:身体拘束の実施を目的変数とした重回帰分析では,急性期病院の認知障害高齢者のための看護実践自己評価尺度の「起こりうる問題を予測した社会心理...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 56; no. 2; pp. 146 - 155
Main Authors 吉村, 浩美, 鈴木, みずえ, 伊藤, 靖代, 宗像, 倫子, 鈴木, 美恵子, 森本, 俊子, 須永, 訓子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.04.2019
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.56.146

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Summary:目的:本研究の目的は,急性期病院において看護師が実践する身体拘束の実施の関連要因として看護師の看護実践に関する自己評価などを用いて明らかにすることである.研究方法:本研究は,2016年4月~2017年3月に,H市における4病院(7対1の500床以上)の病棟看護師を対象とした.急性期病院の身体拘束において,体幹帯の使用,ミトン型手袋の着用,車椅子などの腰ベルトの使用,介護衣の着用,ベッド柵の使用,向精神薬などの内服に関する6項目に対して評価などを依頼した.結果:身体拘束の実施を目的変数とした重回帰分析では,急性期病院の認知障害高齢者のための看護実践自己評価尺度の「起こりうる問題を予測した社会心理的アプローチを含めたケア」,「認知機能と本人に合わせた独自性のあるケア」,看護実践能力自己評価尺度(CNCSS)の「質の改善」が有意に身体拘束を減少させていた.結論:急性期病院におけるパーソン・センタード・ケアや臨床倫理を基盤とした看護実践が身体拘束を減少させている可能性が示唆された.今後,病院における看護実践に関する安全管理と患者の尊厳尊重のバランスなどの課題が明らかになった.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.56.146