睡眠中の心電図を用いた生体リズムの推定方法

現在,スポーツ選手のコンディショニングは自己管理やコーチの経験に頼っている傾向にある.そこで,我々は身体的/精神的コンディションに関係があるサーカディアンリズムに着目した.従来のサーカディアンリズムの推定方法は,24時間以上の測定や昼間の運動制限のような活動制限が必要となり,日常的な計測には適していない.したがって,我々は睡眠中に計測した心電図からサーカディアンリズムを推定するアルゴリズムを開発した.方法は,睡眠中の心電図から心拍数を算出し,四分位範囲を用いて外れ値処理をした後,30秒間の中央値をとりながらリサンプリング,ウルトラディアンリズムを除去するため120分未満の周期をカット,最低心拍...

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Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Proc; pp. 586 - 589
Main Authors 増田, 葉月, 岡田, 志麻, 塩澤, 成弘, 牧川, 方昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
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Summary:現在,スポーツ選手のコンディショニングは自己管理やコーチの経験に頼っている傾向にある.そこで,我々は身体的/精神的コンディションに関係があるサーカディアンリズムに着目した.従来のサーカディアンリズムの推定方法は,24時間以上の測定や昼間の運動制限のような活動制限が必要となり,日常的な計測には適していない.したがって,我々は睡眠中に計測した心電図からサーカディアンリズムを推定するアルゴリズムを開発した.方法は,睡眠中の心電図から心拍数を算出し,四分位範囲を用いて外れ値処理をした後,30秒間の中央値をとりながらリサンプリング,ウルトラディアンリズムを除去するため120分未満の周期をカット,最低心拍数とその時の時刻を求めるものである.最高コンディション時刻は,最低心拍数時の時刻に12時間加算して得られる.健常成人5名に対して評価実験を実施した.このアルゴリズムの有効性を評価するために,前額部の深部体温によるサーカディアンリズムと比較した.定型睡眠については,このアルゴリズムによって推定されたサーカディアンリズムと深部体温によって測定されたサーカディアンリズムは強い正の相関関係があった.さらに,深部体温と心拍数によって算出された最低時刻の差はわずか20分であった.このことから,定型睡眠時の心電図からサーカディアンリズムの最低値における時刻と心拍数を推定することに成功したと考えられる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.586