集合電子模型による強磁性スピン波理論

最近朝永教授によつてcollective motionを扱う一般論が展開された.固体論に於けるcollective motionの代表的のものの一つはスピン波の運動である.Heitler-Londonのmodelに立つspin waveの理論は比較的簡単であつてその扱う自由度はspinの自由度だけであるのに対して集合電子模型では電子のspin wave motionと軌道運動とが密接にからみ合つていて前者に比べて取扱いが複雑である.この小論の目的は集合電子模型に基いたspin waveの問題を朝永の方法によつて調べることである.一般の帯構造をもつ場合をsimplifyして自由電子模型によつてこ...

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Published in物性論研究 Vol. 1956; no. 95; pp. 27 - 44
Main Authors 芳田, 奎, 糟谷, 忠雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 物性研究・電子版 編集委員会 1956
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ISSN1883-7808
DOI10.11177/busseiron1943.1956.95_27

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Summary:最近朝永教授によつてcollective motionを扱う一般論が展開された.固体論に於けるcollective motionの代表的のものの一つはスピン波の運動である.Heitler-Londonのmodelに立つspin waveの理論は比較的簡単であつてその扱う自由度はspinの自由度だけであるのに対して集合電子模型では電子のspin wave motionと軌道運動とが密接にからみ合つていて前者に比べて取扱いが複雑である.この小論の目的は集合電子模型に基いたspin waveの問題を朝永の方法によつて調べることである.一般の帯構造をもつ場合をsimplifyして自由電子模型によつてこの問題をとり扱う.集合電子模型によるスピン波の理論はHerring-Kittel. Herring2, 3, 4によつて議論された.特にHerringは自由電子模型で電子のスピンの平均の方向がZ軸に垂直に且つspiral状に変化している場合のエネルギーの値, 或は外部から強制的にM×R sin x なるtorqueが仂いた場のspinのresponseを求めexchange stiffnessconstantを計算した.そしてspin波のexcitationのエネルギーをこの常数から現象論的に求めた.これに対してこゝでは直接spin waveの性質を調べるわけである.方法はHerringのと全く異つているがexcitaion energyに関しては完全に同じexpression が得られる.
ISSN:1883-7808
DOI:10.11177/busseiron1943.1956.95_27