前立腺肥大症における連続平行割面による潜在癌の検索

前立腺被膜下摘除術を行なつた25例について, 摘出標本の連続平行割面を作成して, 潜在癌の検索およびその病巣の大きさ, 組織学的悪性度, 摘出標本の辺縁への癌の浸潤の有無について検討した. 25例のうち5例で潜在癌が発見された. 組織学的悪性度はG1, 3例, G2, 1例, G3, 1例であつた. 潜在癌の認められた5例の平均年齢は78.6歳であり, 潜在癌を認めなかつた20例の平均年齢69.7歳に比べて, 有意に高齢であつた. 病巣の大きさは, 5例中2例はきわめて小範囲であつた. 他の3例はかなり大きな病巣を有していた. 前立腺癌に対する治療は, 3例は治療を行なわず経過観察のみで, 1...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 401 - 408
Main Authors 黒田, 昌男, 古武, 敏彦, 宇佐美, 道之, 清原, 久和, 三木, 恒治, 吉田, 光良, 細木, 茂, 石黒, 信吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1983
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Summary:前立腺被膜下摘除術を行なつた25例について, 摘出標本の連続平行割面を作成して, 潜在癌の検索およびその病巣の大きさ, 組織学的悪性度, 摘出標本の辺縁への癌の浸潤の有無について検討した. 25例のうち5例で潜在癌が発見された. 組織学的悪性度はG1, 3例, G2, 1例, G3, 1例であつた. 潜在癌の認められた5例の平均年齢は78.6歳であり, 潜在癌を認めなかつた20例の平均年齢69.7歳に比べて, 有意に高齢であつた. 病巣の大きさは, 5例中2例はきわめて小範囲であつた. 他の3例はかなり大きな病巣を有していた. 前立腺癌に対する治療は, 3例は治療を行なわず経過観察のみで, 1例は抗男性ホルモン療法を行ない, 他の1例は抗男性ホルモン療法と放射線療法を行なつた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.74.3_401