慢性副鼻腔炎術後急性増悪に対するアジスロマイシン単回投与製剤の有用性

慢性副鼻腔炎の術後急性増悪に対するアジスロマイシン単回投与製剤の臨床効果について, レボフロキサシンを対照薬として比較検討した。対象は平成21年10月から平成22年4月まで, 東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科を受診し慢性副鼻腔炎の診断にて内視鏡下鼻内手術を施行し, 術後経過観察中に急性増悪をきたした症例30例である。以上の対象をアジスロマイシン投与群 (n=15) とレボフロキサシン投与群 (n=15) に割り付け, 耳鼻咽喉科領域抗菌薬薬効判定基準に基づいた臨床効果および自覚症状, 細菌学的効果について比較検討した。薬効判定基準による有効率は全体で83.3% (25例/30例) であり,...

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Published inJIBI INKOKA TEMBO Vol. 53; no. 4; pp. 239 - 245
Main Authors 中山, 次久, 吉川, 衛, 大櫛, 哲史, 浅香, 大也, 森山, 寛, 鴻, 信義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 2010
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
Subjects
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.53.239

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Summary:慢性副鼻腔炎の術後急性増悪に対するアジスロマイシン単回投与製剤の臨床効果について, レボフロキサシンを対照薬として比較検討した。対象は平成21年10月から平成22年4月まで, 東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科を受診し慢性副鼻腔炎の診断にて内視鏡下鼻内手術を施行し, 術後経過観察中に急性増悪をきたした症例30例である。以上の対象をアジスロマイシン投与群 (n=15) とレボフロキサシン投与群 (n=15) に割り付け, 耳鼻咽喉科領域抗菌薬薬効判定基準に基づいた臨床効果および自覚症状, 細菌学的効果について比較検討した。薬効判定基準による有効率は全体で83.3% (25例/30例) であり, アジスロマイシン群が86.7% (13例/15例), レボフロキサシン群が80% (12例/15例) とほぼ同等であった。自覚症状スコアはアジスロマイシン群, レボフロキサシン群ともに薬剤投与3日後から有意に改善し, 両群間に有意差を認めずアジスロマイシンはレボフロキサシンとほぼ同等の優れた臨床効果を示した。細菌学的効果 (菌消失率) は投与14日後において全体で81.5% (22株/27株), アジスロマイシン群では71.4% (10株/14株), レボフロキサシン群は92.3% (12株/13株) であった。 以上よりアジスロマイシン単回投与製剤は慢性副鼻腔炎急性増悪に対して有効な抗菌薬と考えられた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.53.239