唇顎裂患者に発生した鼻口蓋管嚢胞の1例

顎裂部腸骨移植は二次的に鼻口蓋管嚢胞の誘因となる可能性がある。本論文は,口唇顎裂患者に認められた鼻口蓋管嚢胞症例について報告し,その原因論について考察する。 症例は43歳男性で,左口蓋部の10mm腫大を自覚し当科を受診した。既往歴として,左痕跡唇顎裂にて幼児期に手術歴があり,さらに31歳で口唇鼻翼再形成と顎裂部腸骨移植を施行されている。CTでは,切歯管を含んで左上顎前歯部根尖から頭側にかけて,顎裂骨移植部に広がる類円形の透過像を認める。全摘生検を行い,病理学的に鼻口蓋管嚢胞と診断した。鼻口蓋管嚢胞の原因として,外傷や感染の可能性が報告されている。顎裂部腸骨移植を行う際に前歯部歯肉を外側・内側に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of Japanese Cleft Palate Association Vol. 43; no. 1; pp. 32 - 35
Main Authors 木下, 弘幸, 大林, 修文, 長尾, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 2018
Japanese Cleft Palate Association
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.43.32

Cover

More Information
Summary:顎裂部腸骨移植は二次的に鼻口蓋管嚢胞の誘因となる可能性がある。本論文は,口唇顎裂患者に認められた鼻口蓋管嚢胞症例について報告し,その原因論について考察する。 症例は43歳男性で,左口蓋部の10mm腫大を自覚し当科を受診した。既往歴として,左痕跡唇顎裂にて幼児期に手術歴があり,さらに31歳で口唇鼻翼再形成と顎裂部腸骨移植を施行されている。CTでは,切歯管を含んで左上顎前歯部根尖から頭側にかけて,顎裂骨移植部に広がる類円形の透過像を認める。全摘生検を行い,病理学的に鼻口蓋管嚢胞と診断した。鼻口蓋管嚢胞の原因として,外傷や感染の可能性が報告されている。顎裂部腸骨移植を行う際に前歯部歯肉を外側・内側に剥離する手技や,移植した海綿骨自体の物理的刺激が切歯管に及び,嚢胞発症に関連した可能性があるものと考えられた。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.43.32