血液透析患者の家族における療養負担感と療養継続困難感の関連性

本研究は,血液透析患者の家族における療養負担感と療養継続困難感の関連性について,構造方程式モデリングを用いて検証することを目的とした.本調査では,A県腎臓病患者連絡協議会に所属している会員1,705人の家族を対象とし,血液透析患者への療養における負担感と継続困難感,これらに影響を及ぼすと考えられる要因について自記式で回答を求めた.解析にはADLが自立している血液透析患者の家族647人のデータを用いた.療養負担感はCare-giving Burden Scaleの短縮版を用い,療養継続困難感との関連性は多重指標モデルを用いて検証した結果,療養負担感の下位領域である「否定的感情の認知」のみが療養継...

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Published in社会福祉学 Vol. 49; no. 1; pp. 87 - 97
Main Authors 竹本, 与志人, 香川, 幸次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本社会福祉学会 31.05.2008
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Summary:本研究は,血液透析患者の家族における療養負担感と療養継続困難感の関連性について,構造方程式モデリングを用いて検証することを目的とした.本調査では,A県腎臓病患者連絡協議会に所属している会員1,705人の家族を対象とし,血液透析患者への療養における負担感と継続困難感,これらに影響を及ぼすと考えられる要因について自記式で回答を求めた.解析にはADLが自立している血液透析患者の家族647人のデータを用いた.療養負担感はCare-giving Burden Scaleの短縮版を用い,療養継続困難感との関連性は多重指標モデルを用いて検証した結果,療養負担感の下位領域である「否定的感情の認知」のみが療養継続困難感に有意な影響を及ぼしており,「社会的活動の制限の認知」の有意な影響は確認されなかった.今後は「社会的活動の制限の認知」と「否定的感情の認知」の先後関係を確認するための検討や療養負担感のストレッサー探索,療養継続困難感に対する療養負担感および背景変数以外の影響要因の探索が望まれる.
ISSN:0911-0232
2424-2608
DOI:10.24469/jssw.49.1_87