統合失調症患者の家族介護者における介護経験に伴う苦悩

本研究の目的は,長期入院を経験した統合失調症患者の家族介護者が抱える苦悩の具体的内容を明らかにし,家族支援の充実に向けた具体策を構築するための示唆を得ることである。対象者は精神科訪問看護ステーションを利用している統合失調症患者の家族介護者23名である。半構成的面接を実施し質的帰納的に分析した。その結果,「親亡き後の子どもの将来」と「介護者としての自分自身の苦悩」に示された「精神症状に対する対応の困難性」「精神症状の再燃」「経済的負担」「家族介護者自身の体調不良」「副介護者がいないこと」の5つの苦悩の内容が明らかとなった。何よりも子どもの将来を案じるが故に苦悩が連鎖的に生じる胸中が明らかになった...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 32; no. 2; pp. 2_35 - 2_43
Main Authors 藤野, 成美, 山口, 扶弥, 岡村, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 01.06.2009
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:本研究の目的は,長期入院を経験した統合失調症患者の家族介護者が抱える苦悩の具体的内容を明らかにし,家族支援の充実に向けた具体策を構築するための示唆を得ることである。対象者は精神科訪問看護ステーションを利用している統合失調症患者の家族介護者23名である。半構成的面接を実施し質的帰納的に分析した。その結果,「親亡き後の子どもの将来」と「介護者としての自分自身の苦悩」に示された「精神症状に対する対応の困難性」「精神症状の再燃」「経済的負担」「家族介護者自身の体調不良」「副介護者がいないこと」の5つの苦悩の内容が明らかとなった。何よりも子どもの将来を案じるが故に苦悩が連鎖的に生じる胸中が明らかになったことから,介護負担の軽減という観点よりも,むしろ患者が自立して地域で生活できるような人的,物的,経済的,社会的サポートの充実を図るための支援策を講じることの重要性が示唆された。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20081225003