運転免許制度変更に伴うもの忘れ外来患者の現状調査
2017年3月改正道路交通法が施行され,運転免許の更新時や交通違反時に医師の診断を要することになった.これを受けて倉敷平成病院認知症疾患医療センター(以後当センター)通院者の,運転免許保持者あるいは喪失者合計202名に対して現状調査のアンケートを実施した.その結果,保持者は108名,喪失者94名であり,運転免許保持者108名中,運転中ヒヤリとした経験の有無は,75歳以上と未満ではさほど差が無かった.運転免許返納の意思については男性では年齢にかかわらず返納意思無しが大多数であったが,女性では75歳以上で返納意思無し有りがほぼ同数であった.運転免許を返納したら困る事は,買い物・病院通い・趣味外出の...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 57; no. 1; pp. 53 - 59 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.01.2020
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Summary: | 2017年3月改正道路交通法が施行され,運転免許の更新時や交通違反時に医師の診断を要することになった.これを受けて倉敷平成病院認知症疾患医療センター(以後当センター)通院者の,運転免許保持者あるいは喪失者合計202名に対して現状調査のアンケートを実施した.その結果,保持者は108名,喪失者94名であり,運転免許保持者108名中,運転中ヒヤリとした経験の有無は,75歳以上と未満ではさほど差が無かった.運転免許返納の意思については男性では年齢にかかわらず返納意思無しが大多数であったが,女性では75歳以上で返納意思無し有りがほぼ同数であった.運転免許を返納したら困る事は,買い物・病院通い・趣味外出の制限・家族本人の負担増大が4大ポイントであった.一方,運転免許喪失者94名のうち,免許返納交換サービスである,おかやま愛カードと運転経歴証明書の発行は年齢を問わず約半数であった.また運転免許を喪失した時の気持ちは,今後の生活に不安はあるものの新しい生活を前向きに捉えるという回答が多かった.このようなデータを生かし,新しい道路交通法の施行に伴う高齢者ドライバーの運転免許更新時への当センターの指導内容に生かしていくことが求められる. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.57.53 |