急性期病院の看護師に対する認知症看護実践能力育成プログラムの有効性
目的:急性期病院では身体疾患の治療のための認知症高齢者の入院が急増してせん妄や身体拘束などが課題となっている.認知症高齢者の認知症医療や看護の質向上,さらには身体拘束低減をめざしたパーソン・センタード・ケアを基盤としたe-learningによる認知症看護実践能力育成プログラムを開発した.本研究の目的は7対1看護基準の急性期病院における看護師を対象に,同プログラムの有効性の検証を行うことである.方法:2020年4月から~12月に介入プログラムを実施した.対象者病院の病棟看護師に研究を紹介して募集した.対象者には「e-learning:認知症看護実践能力育成プログラム(4週間)」の受講と介入評価ア...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 59; no. 1; pp. 67 - 78 |
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Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.01.2022
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Summary: | 目的:急性期病院では身体疾患の治療のための認知症高齢者の入院が急増してせん妄や身体拘束などが課題となっている.認知症高齢者の認知症医療や看護の質向上,さらには身体拘束低減をめざしたパーソン・センタード・ケアを基盤としたe-learningによる認知症看護実践能力育成プログラムを開発した.本研究の目的は7対1看護基準の急性期病院における看護師を対象に,同プログラムの有効性の検証を行うことである.方法:2020年4月から~12月に介入プログラムを実施した.対象者病院の病棟看護師に研究を紹介して募集した.対象者には「e-learning:認知症看護実践能力育成プログラム(4週間)」の受講と介入評価アンケートでは,①受講前(ベースライン),②受講直後(1カ月後),③実践3カ月後,④実践6カ月後の計4回を実施した.アンケート調査では同プログラムに関する有効性の評価として,認知症看護の意識では「認知症高齢者の看護への関心」,パーソン・センタード・ケアをめざした看護実践自己評価尺度,日本語版Approaches to Dementia Questionnaireを用いて評価した.さらに臨床看護師の倫理的感受性尺度,身体拘束の低減に関する自己効力感に関して評価した.結果:本研究の対象者は71名,所属病棟は外科系・内科系など60名(85.7%),認知機能障害のある患者の入院は半数程度が最も多く30名(42.3%)であった.臨床経験は13.5±9.5年であった.「点滴・中心静脈・経管栄養などのチューブを抜かないように,ミトン型手袋をつける」を低減できる自信(self-efficacy),急性期病院の認知障害高齢者に対するパーソン・センタード・ケアをめざした看護実践自己評価尺度,日本語版Approaches to Dementia Questionnaireのそれぞれの合計点は,ベースラインと比較して介入直後,3カ月後,6カ月後と有意に増加していた.結論:本研究の介入プログラムは参加者が簡便に学習し,実践できる有効な介入であることが示唆された. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.59.67 |