オーストラリアのクリティカル・ソーシャルワーク理論における社会正義概念とポストモダニズムの影響

近年国際的に注目されるようになったオーストラリアのソーシャルワーク研究者たちは,普遍的原理としての社会正義概念を基盤としながら,ポストモダニズム思想を導入し,クリティカル・ソーシャルワークとして発展させてきた・しかし,普遍的な概念を基盤とする社会正義概念とそのようなメタ概念を相対化しようとするポストモダニズムといった2つの相反する価値をひとつのソーシャルワーク理論の価値基盤として統合することが可能なのかという困難な理論的課題があった.本稿は,オーストラリアのソーシャルワーク研究者がクリティカル・ソーシャルワーク理論をどのような経緯をもって導入し,発展させてきたか,その理論的変遷を描くことを試み...

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Published in社会福祉学 Vol. 48; no. 3; pp. 55 - 65
Main Author 舟木, 紳介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本社会福祉学会 30.11.2007
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ISSN0911-0232
2424-2608
DOI10.24469/jssw.48.3_55

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Summary:近年国際的に注目されるようになったオーストラリアのソーシャルワーク研究者たちは,普遍的原理としての社会正義概念を基盤としながら,ポストモダニズム思想を導入し,クリティカル・ソーシャルワークとして発展させてきた・しかし,普遍的な概念を基盤とする社会正義概念とそのようなメタ概念を相対化しようとするポストモダニズムといった2つの相反する価値をひとつのソーシャルワーク理論の価値基盤として統合することが可能なのかという困難な理論的課題があった.本稿は,オーストラリアのソーシャルワーク研究者がクリティカル・ソーシャルワーク理論をどのような経緯をもって導入し,発展させてきたか,その理論的変遷を描くことを試みた.社会正義を基盤とするクリティカル・ソーシャルワーク理論がポストモダニズムの影響を受けて,その相反する価値の統合・共存の一方法として,ソーシャルワークの主体に対して反本質主義の視座を採用したことを論じた.
ISSN:0911-0232
2424-2608
DOI:10.24469/jssw.48.3_55